開示要約
株式会社ココペリは第19期(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の事業報告および連結計算書類を開示した。連結売上高は1,758,338千円で前年同期比12.4%減、営業損失は409,242千円(前年同期は197,862千円の営業利益)、経常損失は202,670千円、親会社株主に帰属する当期純損失は414,623千円となった。1株当たり当期純損失は54円53銭、1株当たり純資産は192円27銭である。 主力の中小企業向け経営支援プラットフォーム「Big Advance」は2026年3月31日時点で導入金融機関76社、中小企業会員53,895社となり、2026年2月には「Big Advance AIエージェント構想」を掲げた。一方、補助金活用コンサルティングは前期に計上した大規模な補助金採択報酬がなかったことと補助金制度の変更による採択率低下で売上が大幅に減少した。 特別損失には『ちゃんと請求書』『法人ポータル』に係る107,527千円、のれん償却額87,087千円、固定資産圧縮損147,203千円を計上した。総資産は1,887,301千円、純資産は1,514,207千円、自己資本比率は77.6%。剰余金の配当は実施の可能性および時期とも未定としている。
影響評価スコア
☔-2i連結売上高は1,758,338千円と前年同期比12.4%減にとどまり、営業損益は前年同期の197,862千円の黒字から409,242千円の赤字へ転落した。補助金活用コンサルティングにおける大規模な採択報酬の剥落と採択率低下が減収の主因で、「BIG ADVANCE GLOBAL」への投資前倒しが費用を押し上げた。販売費及び一般管理費1,174,247千円が売上総利益765,004千円を大きく上回っており、収益構造の悪化が鮮明になっている。
配当は成長過程にあるとして内部留保の充実を優先し、実施の可能性および時期はいずれも未定との方針が維持された。連結の利益剰余金は当期首420,328千円から期末5,704千円へ縮小し、1株当たり純資産も245円66銭から192円27銭へ低下している。第19回定時株主総会では取締役5名の選任と事業目的を追加する定款変更が承認されたが、株主還元の具体策は示されていない。
「Big Advance」は導入金融機関76社・中小企業会員53,895社まで広がり、2026年2月には生成AIを活用する「Big Advance AIエージェント構想」を掲げた。2025年12月8日にはSIAM KOKOPELLI Co., Ltd.の株式49%を取得して持分法適用関連会社とし、定款にも海外進出に関するコンサルティング事業を追加している。半面『ちゃんと請求書』『法人ポータル』は投資回収額が見込めないとして減損され、成長投資の取捨選択が同時に進む。
営業・経常・最終の各段階が揃って赤字となり、増収増益だった前期から一転した点は株価の重石になりやすい。無配方針が続くため配当利回りによる下支えも期待しにくい。他方で現金及び預金1,043,904千円、自己資本比率77.6%を維持しており、財務基盤への不安が直ちに広がる状況ではない。第19回定時株主総会の全議案が原案通り承認された点も含め、想定外の追加材料は限定的である。
子会社である株式会社ココペリ経営サポート株式の実質価額が著しく低下し、連結ではのれん全額87,087千円を償却、単体では関係会社株式評価損307,756千円を計上した。買収時に見込んだ超過収益力が実現しなかったことを示す。ソフトウェア107,527千円の減損も事業計画見直しに伴うもので、投資判断の精度が課題となる。会計監査人は應和監査法人が担当し、監査意見は無限定適正で継続企業の前提に関する注記はない。
総合考察
総合評価を最も押し下げたのは業績インパクトである。売上高は1,758,338千円と前年同期比12.4%減にとどまる一方、営業損益は前期の197,862千円の黒字から409,242千円の赤字へと6億円規模で振れており、補助金コンサルという単年度変動の大きい収益源にストック型SaaSの成長が支えられていた実態が表面化した。EDINET DBの時系列でも売上高は2025年3月期の2,007,546千円がピークで、成長トレンドは一旦途切れた。 視点間では方向が割れている。戦略面は「Big Advance」の金融機関76社・会員53,895社という顧客基盤とAIエージェント構想、SIAM KOKOPELLI株式49%取得による海外展開という前向きな材料を持つ。しかしガバナンス面では、買収子会社ののれん全額償却と関係会社株式評価損307,756千円が、成長投資の見積り精度に疑問を残した。 投資家が次に確認すべきは、2027年3月期の四半期開示で「Big Advance」のストック収益が撤退プロダクトの穴を埋め、売上総利益765,004千円を上回る販管費1,174,247千円の水準が是正されるかである。自己資本比率77.6%と現預金10.4億円は当面の緩衝材だが、ソフトウェア残高299,133千円とのれん88,711千円を抱えるため、事業計画が再び未達となれば追加の減損計上リスクが残る。