EDINET有価証券報告書-第51期(2025/04/01-2026/03/31)🌤️+1↑ 上昇確信度75%
2026/06/25 14:50

学究社、営業益10.8%増の29億円 年間配当103円に増配

開示要約

学究社は2026年3月期(第51期)の有価証券報告書を提出した。連結売上高は13,069百万円で前年同期比1.7%減、営業利益は2,904百万円で同10.8%増、経常利益は3,004百万円で同13.0%増となった。親会社株主に帰属する当期純利益は1,848百万円で同0.8%減にとどまり、前期計上の関係会社株式売却益の反動と、校舎統廃合に伴う268百万円が利益を押し下げた。 減収の要因は、東京都による私立高校授業料の実質無償化拡充で、同社が強みとする都立中・都立高を目指す生徒数が減少したことにある。一方、夏期合宿を従来の5泊6日から10泊11日へ拡充し22泊23日の長期合宿を新設、冬期も13泊14日を実施したことが収益に寄与した。費用面では交通広告など新たな広告手法の導入で広告宣伝費が増えた半面、校舎の統廃合を含む経営効率化により営業費用全体は減少した。 セグメント別では教育事業が12,418百万円(1.7%減)、不動産事業が164百万円(0.6%減)、その他が684百万円(19.5%減)。期末配当は1株53円で年間103円となり、前期の90円から増配した。2027年3月期は売上高14,656百万円(12.1%増)、営業利益3,235百万円(11.4%増)、当期純利益2,186百万円(18.3%増)を見込む。定時株主総会には取締役9名選任の議案を付議する。

影響評価スコア

🌤️+1i
業績インパクトスコア +2

売上高は13,069百万円と前年同期比1.7%減となった一方、営業利益は2,904百万円で10.8%増、経常利益は3,004百万円で13.0%増と2桁の増益を確保した。都立無償化拡充に伴う生徒数減で減収となったが、合宿日程の拡充による季節講習売上と経営効率化による費用減が利益を押し上げた。純利益は前期の関係会社株式売却益の反動と減損損失268百万円で1,848百万円と0.8%減にとどまったが、本業の収益力は改善している。2027年3月期は売上高12.1%増・営業利益11.4%増を計画する。

株主還元・ガバナンススコア +2

期末配当は1株53円とし、中間50円と合わせ年間103円となった。前期の年間90円から13円の増配で、当期の配当金支払額は1,032百万円に達した。剰余金の配当は業績に対応した成果配分を基本方針とし、内部留保は新規校舎の設備投資や賃貸用不動産の取得に充てるとしている。純資産は8,174百万円へ増え1株当たり純資産額は751円90銭。一方、取締役会長が議決権を100%保有するケイエスケイケイ株式会社が36.62%を握り、同社への不動産賃借料125百万円の関連当事者取引が続く点は留意点となる。

戦略的価値スコア +2

2025年3月公表の中期経営計画に沿い、都立中・都立高受験に加え私立中・私立高受験への対応を強化している。最難関私国立中受験専門塾「極」の開校、オリジナルテキスト「EXE」の開発、小学部全校舎への都私立コース設置、中学部の「ena最高水準」設置校舎の拡大を進め、「都立のena」から「都立も私立も合格できるena」への転換を図る。都立中高一貫校11校で計1,097名、都立進学指導重点校7校で計377名の合格実績を維持し、海外のGAKKYUSHA USAグループは生徒数が順調に推移し増収となった。

市場反応スコア +1

本書は有価証券報告書であり、期末配当53円は2026年5月15日の取締役会で既に決議済みで、業績数値も先行して開示された内容が中心となる。ただし2027年3月期に売上高14,656百万円、経常利益3,240百万円、当期純利益2,186百万円と2桁の増収増益を見込む計画と、年間103円への増配は投資家の関心を集めやすい。一方で当期売上高は13,069百万円と前期を下回っており、生徒数動向の改善が確認されるまでは計画の確度を見極める動きが残りやすい。

ガバナンス・リスクスコア -1

校舎等の統廃合に伴い減損損失268,887千円を計上した。営業活動のキャッシュ・フローが継続してマイナスの事業所と、閉鎖・移転を決定した事業所について帳簿価額を回収可能価額まで減額し、使用価値がマイナスのためゼロ評価としており、不採算校舎の存在が続く。従業員数は462名と前期末比37名減少した。役員面では2026年2月28日に取締役1名が辞任し、本総会で取締役を7名から9名へ増員する。監査委員会は社外取締役3名で構成され、常勤の監査委員を置いていない。

総合考察

総合評価を押し上げたのは業績と株主還元の2軸である。売上高が1.7%減となる中で営業利益10.8%増・経常利益13.0%増を確保した事実は、合宿の長期化という客単価施策と校舎統廃合によるコスト構造改革が同時に効いたことを示す。売上総利益率は前期の35.6%から38.4%へ改善しており、減収でも利益を伸ばせる体質への移行が進んだと読める。年間103円への増配も、EDINET DBベースでROE23.8%・自己資本比率65.0%という財務余力を背景にした還元姿勢の表れといえる。 一方、ガバナンス・リスクだけが逆を向く。268百万円は不採算校舎が残っていることの裏返しであり、従業員37名減と併せて教室ポートフォリオが縮小局面にあることを示唆する。会長が実質支配する法人が36.62%を保有し、同法人との不動産賃借が続く構造も論点として残る。 焦点は2027年3月期計画の達成度に移る。売上高14,656百万円(12.1%増)は減収からの反転を前提とした強めの想定であり、私立受験シフトを担う「極」やテキスト「EXE」の初年度成果、都立無償化の影響一巡が確認できるかが鍵となる。次の四半期開示で生徒数と季節講習売上の回復度を確かめたい。

出典: EDINET(金融庁)(改変あり)
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