開示要約
ぐるなびが第37期(2025年4月1日から2026年3月31日)の有価証券報告書を提出した。連結売上高は14,132百万円で前期比5.0%増、営業利益は400百万円で同52.7%増、経常利益は368百万円で同41.2%増、親会社株主に帰属する当期純利益は236百万円で同11.9%増となった。 事業別では飲食店販促サービスが11,119百万円(前期比6.1%増)、うちストック型サービスが9,898百万円(同8.3%増)となった一方、スポット型サービスは1,221百万円(同8.5%減)、関連事業は1,787百万円(同1.4%減)だった。期末のストック型有料加盟店舗数は33,881店舗(前期末比1.2%増)、ネット予約対応店舗数は3.6万店舗(同4.2%増)。特別損失には関連事業3拠点の234百万円を計上した。 当期の配当は無配とした。2025年11月12日に東証プライム市場からスタンダード市場へ移行している。 次期(2027年3月期)は売上高15,100百万円(前期比6.8%増)、営業損失830百万円、当期純損失1,000百万円を見込む。約70名の採用や見込み客獲得体制の整備に約1,000百万円を投じる計画で、中期経営計画2028では2029年3月期に売上高18,900百万円、営業利益1,300百万円、ROE21%を掲げた。今後の焦点は有料加盟店舗数の拡大ペースとなる。
影響評価スコア
☔-1i第37期は売上高14,132百万円(前期比5.0%増)、営業利益400百万円(同52.7%増)と2期連続の黒字を確保し、ストック型サービスの8.3%増収が牽引した。一方で次期2027年3月期は営業損失830百万円、親会社株主に帰属する当期純損失1,000百万円の見通しで、約70名の採用と見込み客獲得チャネル整備に約1,000百万円を投じるため損益は再び赤字に転じる。実績の改善と来期計画の反転が同居する構図となっている。
当期の普通株式配当は、中長期の再成長に向けた内部留保の確保を優先して無配とした。自己株式も譲渡制限付株式の無償取得46,500株と新株予約権行使に伴う処分18,300株の増減にとどまる。中期経営計画2028では株主還元の強化を資本コスト経営の3つの視点の一つに掲げ2029年3月期のROE21%を目標とするが、還元再開の時期や水準は本開示に示されていない。
中期経営計画2028(2027年3月期から2029年3月期)を策定し、集客メディアから経営サポーターへの提供価値転換とB2Bモデルへの回帰を掲げた。メディア・会員サービス強化、エージェント事業の確立、加盟価値の拡充、営業体制強化、AI時代のデータ基盤構築の5戦略で、2029年3月期に売上高18,900百万円、営業利益1,300百万円、総有料加盟店舗数60,000店舗を目指す。定款目的への銀行代理業の追加も議案に含まれる。
2025年11月12日に東証プライム市場からスタンダード市場へ市場区分を変更しており、需給面の前提が当期中に変わっている。加えて無配の継続と、次期の営業損失830百万円という損益見通しが同じ開示で示された。一方で第37期実績は営業利益が52.7%増、経常利益が41.2%増と改善しており、実績と見通しで方向が分かれる材料構成となっている。
関連事業の茨城県東茨城郡茨城町、東京都江戸川区、富山県富山市の店舗用設備について、来店客数や顧客単価に影響される収益性低下を理由に減損損失234百万円を計上した(使用価値の割引率10.4%)。税務上の繰越欠損金6,438百万円は全額に評価性引当額を計上し繰延税金資産はゼロである。会計監査人の有限責任あずさ監査法人は適正意見を表明し、監査等委員会も指摘事項なしとしている。
総合考察
総合スコアを押し下げたのは業績インパクトと市場反応で、いずれも第37期実績ではなく次期見通しに起因する。営業利益400百万円まで戻した収益力を2027年3月期に営業損失830百万円へ振り向ける判断であり、約1,000百万円の採用・チャネル投資が先行費用として一括で効く構図である。資金面でも、EDINET DBの財務データでは当期の営業キャッシュ・フローが172百万円の流出と前期の921百万円流入から反転しており、ソフトウエア中心の設備投資1,535百万円と合わせて手元現金は3,300百万円まで薄くなった。負担は損益だけにとどまらない。 一方で戦略的価値のみプラスとした。エージェント事業とB2B回帰は、ストック型が8.3%増収した実績と整合しており、方向性には足元の数字の裏付けがある。ただし2029年3月期のROE21%は当期実績4.7%からの跳躍幅が大きく、達成には加盟店基盤の量的拡大が前提となる。 注視点は、2027年3月期の四半期開示で有料加盟店舗数(当期末33,881店舗)が採用70名に見合うペースで積み上がるか、本社移転を含む先行投資が計画額約1,000百万円に収まるかの2点である。無配継続下では、還元再開の可否もこの店舗数の回復速度に連動する。