開示要約
nmsホールディングスが、2025年3月期の有価証券報告書をさかのぼって訂正したお知らせです。訂正の理由は、子会社のパワーサプライテクノロジー(PST社)が、過去に作って販売した製品に不具合があり、その対応費用の一部をPST社が負担する話し合いがついていたのに、その費用を引当金として記録していなかったという会計処理の漏れが見つかったことです。会社は2026年1月に外部の弁護士と公認会計士で構成する特別調査委員会を立ち上げ、3月に「2024年3月期に計上しておくべきだった」という結論を受けたため、過去の決算を訂正しました。具体的には、第39期(2024年3月期)の親会社株主に帰属する当期純利益が、訂正後は約1.3億円の赤字に修正されました。一方、第40期(2025年3月期)の純利益は約7.79億円となっています。訂正後の財務諸表には、あずさ監査法人による2026年4月27日付の監査報告書が添付されています。第40期の1株当たり配当14円は2025年6月27日開催予定の定時株主総会の決議事項として記載されています。
影響評価スコア
☔-1i今回の訂正で、最新の第40期(2025年3月期)の数字は売上が757億円、親会社株主に帰属する当期純利益が約7.79億円となっています。一方、その前の第39期は約1.3億円の赤字に変わり、過去の利益のたまり分(利益剰余金)の期首残高も約8.67億円減らされました。
1株当たり14円の配当予定は変わっていませんが、過去の決算が訂正されたことで、株主が見ていた純利益や1株当たり純資産の数字が変わってしまいました。第39期は赤字に修正され、自己資本利益率(ROE)や配当性向などの指標は表記されなくなっています。
会社の事業の中身(人材派遣、電子機器の受託製造、電源の製造販売の3つの柱)や、日本・中国・東南アジア・北米といった海外拠点の体制は、今回の訂正で変わっていません。今回はあくまで過去の会計処理の修正であり、事業のやり方や成長の方向性が変わったわけではありません。
有価証券報告書の訂正は、過去の開示内容への信頼が揺らぐ材料となるため、短期的に株価が下がりやすい傾向があります。これまでの株主総利回りは250.9%と市場平均(213.4%)を上回っていましたが、訂正を受けて投資家の見方は変わる可能性があります。
子会社で本来計上すべき費用の引当金が、見積もりが可能な状況だったにもかかわらず、計上されていなかったことは、社内のチェック体制(内部統制)に大きな問題があったことを示します。会社は外部の専門家による調査委員会を立ち上げ、調査結果を踏まえて訂正と監査をやり直していますが、再発防止策が本当に機能するかが今後の注目点です。
総合考察
事業そのものの中身は変わっておらず、訂正後でも最新の第40期の業績は改善しています。ただし、子会社で計上すべきだった費用の見落としという会計処理の重大な問題が発覚し、過去の決算を訂正することになりました。これは社内のチェック体制(ガバナンス)の課題を示すもので、株式市場でも警戒される材料となります。投資家は、6月の株主総会での配当の最終決定、会社が打ち出した再発防止策が機能するか、次の第41期(2026年3月期)決算で同じ問題が再発しないか、を見ていく必要があります。