開示要約
城南進学研究社は、第44期(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の有価証券報告書を提出した。連結売上高は5,621百万円(前年同期比0.1%減)、営業利益は77百万円(前年同期は営業損失230百万円)、経常利益は80百万円(前年同期は経常損失228百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は4百万円(前年同期は同純損失420百万円)となった。第41期から第43期まで3期続いた最終赤字から損益が反転している。 部門別では映像授業部門(河合塾マナビス)が1,733百万円と前期の1,584百万円から増加した一方、個別指導部門(直営)は822百万円と前期の934百万円から減少した。特別損失には教室や保育園などの93百万円、特別利益には投資有価証券売却益77百万円を計上している。 配当は2026年4月27日の取締役会で期末1株7円(普通配当5円、記念配当2円、総額58百万円)を決議し、前期の無配から復配となった。総資産は5,108百万円、純資産は1,393百万円、1株当たり純資産は173.26円である。 2026年4月9日に札幌証券取引所本則市場へ重複上場し、2026年5月26日には小規模認可保育4園を運営する有限会社吉祥の全株式を取得した。今後の焦点は、2025年12月公表の新中期経営計画(2026-2028)が掲げる保育園拡大と学習塾事業の差別化の進捗である。
影響評価スコア
🌤️+1i営業利益は77百万円と前期の営業損失230百万円から反転し、経常損益・最終損益もそろって黒字化した。ただし売上高5,621百万円は前年同期比0.1%減とほぼ横ばいで、改善は前期に実施した不採算教場の整理統合など費用面の寄与が中心とみられる。営業利益率は1.4%にとどまり、減損損失93百万円を吸収した最終利益は4百万円と薄い。損益の反転は明確だが、収益規模そのものの回復までは確認できない。
前期の無配から一転し、期末配当を1株7円(普通配当5円、記念配当2円)、総額58百万円とする復配を決議した。還元再開自体は明確なプラス材料である。もっとも配当総額58百万円は当期純利益4百万円を大きく上回り、実質的には利益ではなく内部留保からの支払いとなる。自己資本比率は27.2%と資本が厚いとは言えず、この配当水準の継続性は来期以降の利益回復に依存する。
2025年12月公表の新中期経営計画(2026-2028)では保育園事業を学習塾に続く第2の柱と位置付け、3か年で40から60園への拡大を掲げた。2026年5月26日には小規模認可保育4園(直前期売上238百万円)を運営する有限会社吉祥を100%子会社化し、M&Aによる実行も動き出している。映像授業部門が1,733百万円へ伸びるなど差別化商材も機能しており、成長軸を保育へ広げる方向性は具体性を伴う。
前連結会計年度末に東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準(流通株式時価総額)へ不適合となっていた件は、2026年4月22日開示のとおり適合済みで監理銘柄(確認中)の指定も解除された。2026年4月9日には札幌証券取引所本則市場へ重複上場している。上場廃止懸念の後退と復配は需給面の支えとなる。ただし業績と配当は決算発表時点で公表済みであり、本書が新たな材料となる余地は限られる。
会計監査人は連結・個別いずれにも適正意見を表明し、監査等委員会も指摘すべき事項なしとした。一方で減損損失93百万円の計上が続き、単体では子会社の債務超過に対する関係会社事業損失引当金119百万円、城南KIDS向け貸付金166百万円への全額貸倒引当金を計上している。繰越欠損金679百万円も全額が評価性引当の対象で、子会社管理と繰延税金資産の回収可能性は重い課題として残る。
総合考察
総合スコアを押し上げたのは業績と株主還元の連動である。営業損失230百万円から営業利益77百万円への反転は、前期に前倒しした不採算教場の整理統合が費用面で効いた側面が大きいが、3期続いた最終赤字の連鎖を断ち切った意味は小さくない。前期無配からの7円復配はその反転を経営側が裏付けた材料と読める。 ただし内容は縮小均衡に近い。売上高はほぼ横ばいで、営業利益率1.4%という水準は外部環境が振れれば容易に赤字へ戻る薄さである。配当総額58百万円は当期純利益4百万円の10倍を超え、自己資本比率27.2%と資本が薄いことを踏まえると、来期の利益が伴わなければ還元の持続性が問われる。ガバナンス面では減損が毎期発生し、子会社の債務超過や繰越欠損金679百万円の全額評価性引当が残る点が5視点で唯一のマイナス要因となった。 投資家が次に確認すべきは、2027年3月期の四半期開示で保育園開設が3か年40から60園計画の初年度ペースに乗るか、吉祥(直前期売上238百万円)の連結寄与がどう出るか、そして822百万円まで縮んだ個別指導直営部門が反転するかである。