開示要約
株式会社早稲田学習研究会は、第34期(2025年4月1日から2026年5月31日まで)の事業報告および計算書類を開示した。2025年6月26日の第33回定時株主総会決議により決算日を3月31日から5月31日へ変更したため、当期は14か月間となり、事業報告では前期比増減の記載が省略されている。 業績は売上高7,951百万円、営業利益1,321百万円、経常利益1,325百万円、当期純利益919百万円。1株当たり当期純利益は91円48銭、総資産は9,340百万円、純資産は7,280百万円となった。部門別売上高はゼミ部門5,967百万円、ハイ部門1,299百万円、ファースト個別部門684百万円で、期中平均生徒数は19,182名、期末拠点数は66拠点である。 配当は2026年7月15日開催の取締役会で期末35円を決議し、中間27円を含む年間配当金は62円(前期比7円増配)となった。2025年4月には自己株式84,000株を総額84,154,200円で取得している。設備投資は513百万円で、新規5拠点の開校、群馬県太田市の社宅新築、2025年12月の本社移転を実施した。 本総会では取締役7名と監査等委員である取締役3名の選任が付議される。應和監査法人は計算書類等を適正と認める監査意見を表明し、重要な後発事象の記載はない。今後の焦点は、次期の12か月決算における売上高と利益率の水準である。
影響評価スコア
☁️0i14か月決算で売上高7,951百万円、営業利益1,321百万円を計上したが、売上高営業利益率16.6%は12か月だった第33期の21.4%から低下した。当期純利益919百万円も第33期の1,038百万円を下回る。会社は低採算の4月・5月が2回分含まれる期間構成を説明しているが、新規5拠点の出店費用、本社移転、Web広告強化といった先行費用も重なっており、利益水準の押し下げ要因は複数存在する。
年間配当金は中間27円と期末35円の合計62円で、前期から7円の増配となった。会社は累進的配当を予定すると明記し、増配継続を目指す方針を示している。2025年4月には自己株式84,000株を総額84,154,200円で取得し、従業員82名への譲渡制限付株式35,900株の処分も実施した。減益局面でも還元を優先した形だが、配当性向は約68%まで切り上がっている。
当期はゼミ部門で久喜・鹿沼・北浦和・戸田の4校舎、ファースト個別部門で高崎教室を開校し、期末拠点数は66、期中平均生徒数は19,182名となった。設備投資513百万円のうち282百万円を新規校舎に、146百万円を社宅新築に充て、新卒受入体制を整備した。埼玉エリアの大型校舎出店と教師全員正社員という体制を軸に、成長投資を継続している。
本開示は定時株主総会の招集通知に付随する事業報告・計算書類であり、業績数値と期末配当は2026年7月15日の取締役会決議として既に公表された内容の確認にとどまる。決算期変更により前期比増減の記載が省略されているため、増減率ベースでの比較も難しい。株価材料としての新規性は乏しく、需給への影響は限定的とみられる。
應和監査法人は計算書類等が全ての重要な点において適正に表示しているものと認める監査意見を表明し、監査等委員会も取締役の職務執行に指摘すべき事項はないとした。減損損失の計上はなく、重要な後発事象の記載もない。一方で取締役柳澤武志氏が2026年2月28日付で辞任し、常勤監査等委員の藤井智氏が退任、後任に群馬県警察出身の石川学氏を新任する。株式会社YMMが44.93%、吉原俊夫氏が17.38%を保有する集中的な株主構成が続く。
総合考察
総合スコアを最も押し下げたのは業績インパクトである。14か月という期間の長さにもかかわらず当期純利益919百万円は第33期の1,038百万円を下回り、営業利益率も16.6%と第33期の21.4%から低下した。会社は季節性の低い4月・5月が2回分含まれる期間構成を説明しているが、新規5拠点の出店・移転費用、Web広告強化、本社移転、社宅新築といった先行投資が同時に発生しており、利益率低下が期間要因のみに帰せられるかは次期の12か月決算で初めて検証できる。 一方、株主還元は明確に強化された。年間62円は前期55円からの増配で、累進的配当の方針明記は還元の継続性を支える。ただしEPS91円48銭に対する配当性向は約68%まで上昇しており、増益を伴わない増配の持続力が論点となる。5視点では業績のマイナスと還元のプラスが相反し、総合では中立圏に収れんした。 注視点は、2026年6月から2027年5月までの通常12か月決算で営業利益率が20%台へ復元するか、66拠点体制で生徒数が伸びるかである。株式会社YMMが44.93%を握る株主構成と、繰延税金資産に対する評価性引当額220,408千円もリスク側の確認事項となる。