開示要約
今回の訂正は、nmsホールディングスの子会社パワーサプライテクノロジー(PST)社で過去に作った製品に不具合が起き、販売先での交換対応にかかった費用の一部をPST社が負担することになっていたのに、その費用が決算書に記録されていなかったという問題です。この事実関係を確かめるため、社外の弁護士と公認会計士からなる特別調査委員会が2026年1月23日に設けられ、3月13日に調査報告書が出されました。報告を受け、2024年3月期の決算に製品の補償にかかる費用の引当金として716百万円を特別損失で追加計上しています。その結果、当初505百万円の純利益だった2023年3月期の前期と比較して、2024年3月期は130百万円の最終赤字に転落しました。1株あたりの純資産も161円19銭から158円72銭に少し減っています。一方で、本業のもうけにあたる営業利益は1,737百万円と前期より13%増えており、商品・サービスを売る活動そのものは堅調です。今回直したのは過去の決算で、現在進行中の決算ではありません。あずさ監査法人が改めて決算を確認し、4月27日付で監査報告書を出しています。
影響評価スコア
☔-2i2024年3月期の最終利益が、損失を見越したお金(引当金)を後から追加で計上したことで、もともと利益だったところから130百万円の赤字に変わりました。本業のもうけにあたる営業利益は1,737百万円と前期より13%増えており、過去にきちんと記録すべきだった費用が表に出てきたという性格の問題です。
株主の取り分にあたる1株純資産が161円から158円に少し減りました。配当は1株7円で前期から増えており、お金で還元する部分は維持されています。ただし過去の決算に誤りが見つかったため、株主から見て会社の数字を信じる気持ちが揺らぐ可能性がある点はマイナスです。
会社が掲げる中期計画(売上1,000億円、利益率5%が目標)そのものに大きな変更はありません。ただし、戦略の柱の一つである電源事業の子会社で今回の問題が起きたため、この事業を順調に育てていく計画に対して少しブレーキがかかる可能性があります。
過去の決算を直すというニュースは、株式市場では悪いお知らせとして受け取られやすく、特に利益が赤字に変わるほどの修正がある場合、株価は短期的に下がりやすくなります。一方で、原因はすでに調査委員会が突き止めており、修正の金額もはっきりしているため、過度な不安には繋がりにくい側面もあります。
今回の問題は、子会社が「将来支払う必要が高いとわかっていた費用」を決算書に記録していなかったというもので、会社の内側のチェック機能(内部統制)に大きな抜けがあったことを意味します。複数の年にまたがる漏れもあったため、再発を防ぐ仕組みづくりが急務です。
総合考察
過去の決算に記録漏れがあったことが判明し、716百万円を後から赤字として追加で計上した結果、2024年3月期の最終利益はもともと利益だったのに130百万円の赤字に変わりました。1株あたりの純資産も少し減っています。一方で、商品やサービスを売って得た本業の利益(営業利益)は前期より13%増えており、足元の事業活動そのものは大きく崩れていません。問題は、子会社で過去に支払うべきとわかっていた費用が決算書に書かれていなかった点で、会社の中身をチェックする仕組み(内部統制)にほころびがあったことを示しています。今後は、再発を防ぐための社内ルール作り直しと、次回の株主総会で経営陣が責任をどう説明するかが、信頼を取り戻すうえで重要になります。