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ディスコ(6146) FY2025 Q4決算予測分析

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IR気象台編集部個別株分析

ディスコ(6146)のFY2025 Q4決算を、Q3決算資料・補足情報・4/6速報値(個別売上高・出荷額)を踏まえて予測。過去7四半期の連結/個別比率から連結売上・営業利益を推計し、中央シナリオで売上1,240億円・営業利益534億円(会社予想比+16%上振れ)、通期は初の売上4,000億円超え・6期連続最高益を見込む。一方、株価はPER 62.5倍・PBR 14.6倍と歴史的高バリュエーション。過去10四半期の決算翌日リターン実測分布(平均-0.46%、下落6勝4敗)を加味した経験確率ブレンドで、決算またぎの期待値は-2.9%と試算。保有状況別の投資判断を整理した個別株レポート。

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分析日: 2026年4月21日 | 決算発表予定日: 2026年4月22日(水)

要点サマリー

  • Q4連結業績(中央予測): 売上高1,240億円、営業利益534億円、営業利益率43.1%。会社予想(売上1,152億円、営業利益459億円)に対し売上+7.6%、営業利益+16.3%の上振れが中心ケース。
  • FY25通期連結業績(中央予測): 売上高4,278億円、営業利益1,796億円。初の売上4,000億円超え、6期連続の最高益更新がほぼ確実。
  • 4月6日発表の速報値で通期個別売上高は会社予想を+3.4%上振れ、Q4個別出荷額は前年同期比+28.2%の記録的水準。AI需要の強さを示す客観的シグナル。
  • 株価(4/17終値72,900円)はPER 62.5倍・PBR 14.6倍と歴史的高値圏。52週安値から+222%の急騰で、好決算への期待は相応に織り込み済み。
  • 投資判断: バリュエーション水準と過去10四半期の決算翌日リターン実測(平均-0.46%、下落6勝4敗) を踏まえると、決算またぎの新規買いは期待値マイナス(推定-2.9%)。業績は良好でもマルチプル圧縮リスクの方が大きい局面。

会社概要とビジネスモデル

ディスコは半導体後工程向けの精密加工装置(ダイサ、レーザソー、グラインダ、周辺装置)と精密加工ツール(消耗品の砥石・ブレード等)を製造・販売する専業メーカー。3月期決算。

収益構造(FY25 Q3の出荷額ベース)

区分構成比特徴
精密加工装置61%ダイサ28%、グラインダ30%、周辺装置3%。設備投資サイクルに連動
精密加工ツール22%消耗品。稼働中装置のスループットに連動(安定収益源)
その他(部品・メンテナンス)17%

海外売上比率91.5%、うちアジア向けが79%と、世界の半導体製造装置市場全体の動向に連動する構造。生成AI需要拡大に伴うHBM(広帯域メモリ)・先端ロジック向けの後工程装置で高い市場シェアを持つ。

会計方針上の留意点

  • 装置売上は検収ベース(2019年度方針変更以降): 顧客での装置据付・検収が完了した時点で売上計上されるため、タイミング変動が大きい。
  • ツール・部品売上は出荷ベース: 稼働中装置の需要に連動。
  • 「出荷額」は売上の先行指標として機能。装置出荷から検収まで数ヶ月のラグがあるため、出荷額の強さが1〜2四半期後に売上高に表れる。
  • Q4(1-3月)は年度末検収が集中する季節性があり、通常四半期より売上が跳ねやすい。

四半期業績の実績データ

連結ベースの主要P/L項目(単位:億円)。FY25 Q4は会社予想値。

指標FY24 Q1Q2Q3Q4FY25 Q1Q2Q3Q4予想
売上高8289629361,2078991,0461,0931,152
売上総利益577691666842613727781〜806
売上総利益率69.7%71.7%71.2%69.8%68.1%69.5%71.4%〜70%
販売管理費243265275325268284307〜347
営業利益334426391517345444473459
営業利益率40.3%44.2%41.8%42.9%38.3%42.4%43.3%39.8%
純利益237297318386238321367338
連結出荷額1,0119761,1039251,1119641,1371,169
想定USD158147154151144148156154
想定EUR170162164159166172181181

FY25 Q3実績のハイライト: 売上高1,093億円(前年同期比+16.8%)、営業利益473億円(同+20.9%)、売上総利益率71.4%(四半期ベースで過去2番目)、営業利益率43.3%、連結出荷額1,137億円(過去最高)。直近の業績モメンタムは極めて強い。

4月6日発表の速報値が示すもの

ディスコは4月6日付でFY2025通期の個別(親会社単体)売上高と出荷額の速報値を開示。決算発表に先駆けて市場に事業進捗を伝える、毎四半期恒例の開示である。

個別業績の四半期推移(単位:億円)

指標FY24 Q3Q4FY25 Q1Q2Q3Q4
個別売上高7731,0257548538801,049
前年同期比+10.1%+2.5%+13.8%+2.3%
前期比+13.1%+3.1%+19.2%
個別出荷額908766930774901981
前年同期比+8.5%-8.5%-0.8%+28.2%
前期比-16.7%+16.3%+9.0%

速報値のポイント

ポジティブな材料

  1. 通期個別売上高3,538億円が会社予想3,421億円を**+3.4%上回る**着地(年初来の修正を経た直近予想すら超過)
  2. Q4個別出荷額981億円は**前年同期比+28.2%、前期比+9.0%**で、生成AI向け装置・ツールの堅調さが鮮明
  3. 通期個別出荷額3,588億円は6期連続の過去最高を更新
  4. 前年Q4(FY24 Q4)の個別出荷額が766億円と底だった反動もあり、前年比の伸びが際立つ

ニュートラル〜注意材料

  1. Q4個別売上高の前年比+2.3%は一見緩やかだが、これは検収ベース会計のラグによるもので、出荷額の強さが今後の売上に反映される見込み
  2. Q4個別出荷額の前期比+9%は、Q3の+16%と比べると伸び率は減速しており、出荷モメンタムはピーク圏との見方もできる
  3. 会社のQ4連結売上見通し1,152億円は前年同期比-4.6%と保守的設定であり、個別売上の前年比+2.3%と乖離が大きい → 連結側で会社は大きな保守バッファを積んでいる可能性

連結/個別比率を用いたQ4連結業績の推計

ディスコは連結売上・営業利益の四半期先行開示を行わないため、速報で開示された個別数値から連結数値を推計する手法を採る。過去7四半期の連結/個別比率を確認する。

個別売上連結売上連結/個別比率個別出荷連結出荷連結/個別比率
FY24 Q16858281.2098571,0111.180
FY24 Q28339621.1558469761.154
FY24 Q37739361.2119081,1031.215
FY24 Q41,0251,2071.1787669251.208
FY25 Q17548991.1929301,1111.195
FY25 Q28531,0461.2267749641.245
FY25 Q38801,0931.2429011,1371.262
過去7四半期平均1.2021.208
FY25平均(3四半期)1.2201.234

注目すべき変化: FY25に入り連結/個別比率が上昇傾向(1.19 → 1.23 → 1.24)にある。これは海外子会社経由での販売比率の高まり、および為替効果(円安維持)が重なった結果と推察される。

Q4連結売上高の予測

Q4個別売上1,049億円に上記比率を適用:

  • 保守シナリオ(比率1.18、FY24 Q4と同水準): 約1,238億円
  • 中央シナリオ(比率1.20、過去平均): 約1,259億円
  • 楽観シナリオ(比率1.22、FY25直近平均): 約1,280億円

いずれのシナリオでも会社予想1,152億円を+7〜11%上回る。またQ4連結出荷額は、個別981億円に比率1.21を適用して約1,187億円(会社予想1,169億円比+1.5%)と推計。

Q4連結業績の3シナリオ予測

売上総利益率と販売管理費の想定を加えて、営業利益まで算出する。

想定の前提

  • 売上総利益率: Q3の71.4%から、製品ミックス変化(Q4はダイサ+25%・周辺装置+80%・グラインダ-10%と会社見通し)によりやや低下し、70〜71%を想定
  • 販売管理費: 会社計画値は約347億円(Q3の307億円から+13%)。ただし会社は例年Q4に販管費を厚めに計上する傾向があるため、実績は330〜350億円のレンジ

シナリオ別予測

指標(億円)保守中央楽観会社予想前年Q4実績
売上高1,2001,2401,2801,1521,207
売上総利益率69.0%70.5%71.5%〜70%69.8%
売上総利益828874915〜806842
販管費345340335〜347325
営業利益483534580459517
営業利益率40.3%43.1%45.3%39.8%42.9%
純利益355393427338386
連結出荷額1,1701,1901,2201,169925
対会社予想(売上)+4.2%+7.6%+11.1%
対会社予想(営利)+5.2%+16.3%+26.4%
前年比(売上)-0.6%+2.7%+6.0%-4.6%
前年比(営利)-6.6%+3.3%+12.2%-11.2%

中央シナリオの着地: 売上1,240億円、営業利益534億円、営業利益率43.1%。会社予想営業利益459億円に対し+16%程度の上振れが最も蓋然性が高いケース。

通期FY25連結業績の見通し

Q1〜Q3累計実績に中央シナリオを加算:

指標(億円)Q1〜Q3累計Q4中央予測通期予測会社予想対会社予想
売上高3,0381,2404,2784,190+2.1%
営業利益1,2625341,7961,721+4.4%
純利益9273931,3201,264+4.4%
連結出荷額3,2121,1904,4024,381+0.5%

初の売上高4,000億円超え、6期連続の最高益更新がほぼ確実な見通し。

FY2026(来期)の見通し

ディスコは1四半期先までしか業績予想を開示しない方針のため、4月22日の決算発表ではFY26通期予想は出ず、FY26 Q1(4-6月期)予想のみが開示される。

FY26 Q1予想

過去のQ4 → Q1の季節性(前期比-25%前後)と直近の出荷モメンタムを考慮:

  • 保守: 950億円(会社の保守的ガイダンスパターンを踏襲)
  • 中央: 1,000億円(直近の出荷増を反映)
  • 楽観: 1,050億円(AI関連需要の加速継続)

市場コンセンサスは1,000億円前後とみられる。会社ガイダンスが1,000億円を明確に上回れば好感、950億円未満なら失望反応が出やすい構図。

FY26通期の方向感(市場期待)

AI関連需要の継続、HBM次世代品(HBM4)の本格生産、TSMC・Samsungの設備投資継続を前提とした場合の市場期待レンジ:

  • 売上高: 4,700〜5,100億円(前年比+10〜20%)
  • 営業利益: 2,000〜2,200億円
  • ただし広島新工場・羽田R&Dセンター関連の減価償却費増加(FY25約150億円 → FY26は170〜180億円想定)により、利益率は一時的に低下圧力

主なリスク要因

  • メモリサイクルの在庫調整局面入り(HBMは2026年下期が節目との見方)
  • 米国の対中半導体輸出規制強化(ディスコのアジア売上79%のうち中国向けが約34%)
  • 半導体装置セクター全体のバリュエーション調整

株価とバリュエーション

現在の株価指標(2026年4月17日終値ベース)

指標
株価72,900円
前日比-130円(-0.18%)
時価総額7兆9,080億円
PER(会社予想ベース)62.5倍
PBR(実績)14.6倍
配当利回り(予想)0.60%
52週安値22,640円(2025年4月7日)
年初来高値72,070円(2026年1月29日)

バリュエーションの特徴

バリュエーションは歴史的にも他社比でも高水準

  • 株価は52週安値22,640円から約3.2倍(+222%)に急騰し、年初来高値圏で推移。
  • PER 62.5倍はディスコの過去レンジ(20〜35倍)の約2倍。PBR 14.6倍も半導体装置セクターとして極めて高い水準(同業他社は概ね2〜5倍)。
  • 中央シナリオ通りに着地した場合の決算後PERは約60倍、FY26想定EPS(1,400〜1,550円レンジ)ベースのフォワードPERは46〜53倍
  • 同業他社との比較(フォワードPER): TSMC約23倍、ASML約31倍、東京エレクトロン約25倍。ディスコは圧倒的なプレミアムで取引されている。

バリュエーションが意味するもの

市場は既に以下を織り込んでいると解釈できる:

  1. AI需要の持続的な拡大(今後数年のスーパーサイクル)
  2. HBM・先端ロジック後工程における独占的な市場ポジション
  3. 営業利益率40%超の高収益性の継続

したがって、決算が好調でもこれらの前提を「さらに上方修正」するサプライズが必要であり、単に「期待通りの好決算」では株価上昇の燃料とはなりにくい構造。逆に、いずれか1つでも綻びが見えればマルチプル圧縮(PERの切り下げ)による大きな下落リスクが存在する。

決算発表で注目すべきポイント

優先度確認項目判断基準
最重要連結営業利益の絶対額500億円超で中央線、540億円超で上振れ、460億円未満で下振れ
最重要売上総利益率70%以上維持なら強い、69%未満は懸念
最重要FY26 Q1売上ガイダンス1,000億円以上なら好感、950億円未満は失望
重要期末配当(追加配当含む)308円以上で想定線、320円超で上振れ
重要連結出荷額1,200億円以上で強い、1,169億円未満ならやや懸念
重要FY26の設備投資・減価償却計画減価償却180億円超なら利益率圧迫
重要AI関連需要への経営陣コメント生成AI向けが引き続き牽引との説明があるか
参考地域別売上構成(中国比率)中国比率30%台維持か、政策リスク言及の有無
参考契約負債の増減契約負債の減少は先行指標として需要ピークの示唆となる場合がある

投資判断の論点整理

決算サプライズ余地の切り分け

項目4/6速報で判明済4/22決算で未開示サプライズ余地
個別売上・個別出荷額なし
連結売上高比率から推定可能正式発表中(会社予想比+4〜11%の上振れ想定)
連結売上総利益率・営業利益率大(会社予想の保守性)
連結営業利益大(会社予想比+5〜26%の上振れ想定)
期末配当○(会社予想308円)中(余剰資金次第で上振れ余地)
FY26 Q1ガイダンス大(1,000億円ラインが分水嶺)
AI需要・事業環境コメント

4/6速報で個別数値の大枠が判明したため、決算当日の材料は (a) 連結営業利益率の水準、(b) FY26 Q1ガイダンス、(c) 期末配当の上乗せ余地、(d) 経営陣のFY26見通しコメント の4点に集約される。

ポジティブ要因の整理

  1. 連結営業利益の上振れ確度が高い: 中央シナリオで会社予想比+16%の上振れ。会社の保守的な販管費計画が実績で崩れれば明確な好決算となる。
  2. 6期連続最高益更新がほぼ確実: 売上高4,000億円超えの記念碑的決算となる見込み。
  3. Q4個別出荷額の前年比+28.2%: AI関連需要の強さを示す客観的データ。
  4. 期末配当の上乗せ余地: Q3時点で年度末余剰資金470億円(会社試算)。Q4営利上振れで500億円超に拡大すれば、追加配当(会社予想145円)の上乗せ可能性が高まる。
  5. 広島新工場・羽田R&Dセンターの建設継続: 中長期の供給能力拡大ストーリーを支える。
  6. 株主還元方針: 業績連動配当25% + 安定配当 + 余剰資金の1/3の3段階還元により、高収益時には自動的に配当が増加する構造。

ネガティブ要因の整理

  1. 株価のバリュエーション水準: PER 62.5倍・PBR 14.6倍は歴史的高水準。好決算も相当程度織り込み済み。
  2. Q4個別売上の前年比+2.3%: 成長率の鈍化感。
  3. 出荷モメンタムの減速: Q4個別出荷の前期比+9%はQ3の+16%から鈍化。ピーク圏に近づいている可能性。
  4. FY26 Q1ガイダンスの保守性リスク: 会社は一貫して保守的ガイダンスを提示するパターン。この傾向を市場は学習済みだが、PER 62倍の水準では「保守的ガイダンスでも売られる」展開が起こりうる。
  5. 中国向け売上比率34%: 米中貿易摩擦・先端装置の輸出規制強化が中期的な不確実性。
  6. 販管費の構造的増加: 人件費・R&D・新工場準備に伴うコスト増で、営業利益率42〜43%帯からの持続的な改善は見込みにくい。
  7. セクター全体のボラティリティ: 半導体装置株は市場全体のセンチメントに左右されやすく、好決算でも地合い次第で下落リスク。

株価反応シナリオと期待値試算

ここでは決算翌日の株価がどう動くかを4つのシナリオに分けて、その起こりやすさ(確率)株価の振れ幅を見積もり、期待値を計算する。手順は以下の通り。

  1. 4つのシナリオを定義 — 業績・ガイダンスの組み合わせと、それに対する株価反応の想定幅を決める
  2. 確率の推定方法を説明 — 定性判断(主観確率)と過去実績(経験確率)をどう組み合わせるか
  3. 過去10四半期の決算翌日リターンを集計 — 客観データで「実際にどう動いてきたか」を確認
  4. 4シナリオに過去実績を当てはめる — 経験的な発生頻度を算出
  5. 最終確率と期待値を決定 — 主観と経験をブレンドした確率で期待値を計算

ステップ1: 4つのシナリオ定義

決算内容と株価反応の組み合わせを4段階に分けて定義する。

シナリオ決算・ガイダンスの内容株価反応の想定幅反応の中央値
A. 強気Q4営業利益540億円超 + FY26 Q1ガイダンス1,000億円超 + 追加配当上乗せ+3% 〜 +7%+5%
B. 中立プラスQ4営業利益500〜540億円 + FY26 Q1ガイダンス1,000億円前後-2% 〜 +3%0%(材料出尽くし)
C. 中立マイナスQ4営業利益480〜510億円 + FY26 Q1ガイダンス950〜1,000億円-5% 〜 -10%-7.5%(マルチプル圧縮)
D. 弱気Q4営業利益460〜480億円 + FY26 Q1ガイダンス950億円未満-12% 〜 -20%-16%

ステップ2: 確率の推定方法

単に「直感で確率を割り振る」では恣意性が残るため、以下の2つを組み合わせて確率を推定する。

  • 主観確率: 4/6速報値の強さ、バリュエーション水準、過去のガイダンス傾向などを考慮した定性判断
  • 経験確率: 過去10四半期の決算翌日リターンを上記4シナリオに当てはめた実績頻度(Laplace平滑化で小サンプルを補正)

両者を50:50で加重平均したものをブレンド確率として採用する。

ステップ3: 過去10四半期の決算翌日リターン

ディスコの直近10回の決算発表について、発表当日終値から翌営業日終値までの株価変動を集計した。

決算発表日発表日終値翌営業日終値翌日リターン
FY23 Q22023-10-1928,405円28,000円-1.43%
FY23 Q32024-01-2440,730円41,480円+1.84%
FY23 Q42024-04-2547,080円46,010円-2.27%
FY24 Q12024-07-1855,260円52,700円-4.63%
FY24 Q22024-10-1735,580円38,310円+7.67%
FY24 Q32025-01-2350,860円47,430円-6.74%
FY24 Q42025-04-1726,530円26,760円+0.87%
FY25 Q12025-07-1746,970円42,840円-8.79%
FY25 Q22025-10-2956,390円51,760円-8.21%
FY25 Q32026-01-2158,570円68,570円+17.07%

基礎統計量

指標
平均リターン-0.46%
中央値-1.85%
標準偏差7.56%
最大+17.07%(FY25 Q3)
最小-8.79%(FY25 Q1)
下落回数10回中6回(60%

実績データから読み取れること

  1. 決算後リターンは平均的にわずかに負(平均-0.46%、中央値-1.85%)。「材料出尽くし」傾向がディスコにおいて構造的に存在する。
  2. 高バリュエーションの局面ほど失望反応が大きい傾向: FY25 Q1/Q2の2連続-8%台下落は、株価が直前高値圏で迎えた決算で発生。
  3. 唯一の大幅上昇(FY25 Q3の+17%)は割安水準での好決算: 直前に株価が-44%調整(56,390円 → 51,760円付近)した局面で発生しており、高値圏での同じ決算では起こりにくい。
  4. ±5%超の大きな動きが10回中5回: 決算は単純な「中央に収束する」イベントではなく、上下に振れやすい。

ステップ4: 過去実績を4シナリオに当てはめる

ステップ1で定義したシナリオの株価反応の想定幅に、ステップ3の10件の実績を振り分ける。

シナリオ株価反応の想定幅該当した実績件数経験頻度
A. 強気+3%以上2024-10-17(+7.67%), 2026-01-21(+17.07%)2件20%
B. 中立プラス-2% 〜 +3%2023-10-19(-1.43%), 2024-01-24(+1.84%), 2025-04-17(+0.87%)3件30%
C. 中立マイナス-10% 〜 -2%2024-04-25, 2024-07-18, 2025-01-23, 2025-07-17, 2025-10-295件50%
D. 弱気-10%以下該当なし0件0%

注目点: 過去10四半期では、「中立マイナス(C)」が半分(50%)を占める最頻シナリオ。一方で「弱気(D、-10%以下)」は一度も発生していない。ただしサンプル数10は統計的には少ないため、ステップ5では小サンプル補正を施す。

ステップ5: 最終確率と期待値

経験頻度にLaplace平滑化(各シナリオに+1件の仮想サンプルを加算し、分母を10+4=14に増やす補正)を施し、主観確率と50:50で加重平均する。

シナリオ経験頻度平滑化後経験確率主観確率ブレンド確率反応中央値
A. 強気20%21.4%25%23%+5%
B. 中立プラス30%28.6%35%32%0%
C. 中立マイナス50%42.9%30%36%-7.5%
D. 弱気0%7.1%10%9%-16%

加重平均期待値の計算

0.23 × (+5.0%) + 0.32 × (0.0%) + 0.36 × (-7.5%) + 0.09 × (-16.0%) = -2.9%

期待値が示すもの

  • 上値目処: 約77,500円(現在比+6%、強気シナリオA実現時)
  • 下値リスク: 58,000〜64,000円(-12〜-20%、弱気シナリオD実現時)
  • リスク/リワード: 下値リスクが上値余地の約2〜3倍で非対称。過去実績でも±5%超の大きな動きの内訳は上振れ2回に対し下振れ3回と、下方に歪んでいる。
  • 結論: 期待値は-2.9%、最頻シナリオは「中立マイナス(マルチプル圧縮で-5〜-10%)」。決算またぎの新規買いはリスク/リワード比の観点から推奨しづらい。

総合判断

業績そのものは良好(最高益更新・会社予想+16%上振れ)だが、株価バリュエーションが既に織り込み済みの水準にあり、過去10四半期の実測分布も「決算後は平均的に下落」を示しているため、決算またぎの投資期待値はマイナスというのが本分析の結論。

保有状況別の推奨スタンス

保有状況推奨スタンス
既に長期保有(含み益大)一部利益確定を検討。短期の-15〜-20%下落を許容できる場合のみフルホールド
新規購入検討中決算またぎの買いは見送り推奨。決算後の値動きを確認してから判断
押し目買いの機会を探るシナリオC/Dで65,000円台以下まで下落した場合が有力な買いタイミング

戦術的選択肢(上級者向け): 現物保有者は、プットオプション購入による下値ヘッジや、現物の一部売却+コール購入へのリプレースで、上値余地を残しつつ下値リスクを限定する戦略も検討しうる。

リスクファクター一覧

リスク営業利益影響株価影響発生確率
販管費の期末一括計上-30億円-2〜-4%30%
為替の円高進行-20億円-1〜-3%25%
FY26 Q1ガイダンスが950億円未満-7〜-12%30%
中国向け先端装置の輸出規制強化示唆-5〜-8%15%
速報値からの下方修正(監査法人指摘等)-10億円-3〜-5%5%
バリュエーション(PER)の圧縮-8〜-15%40%
半導体装置セクター全体の調整-5〜-10%20%

最大のリスクは業績ではなくバリュエーション。業績が中央シナリオ通りに着地しても、PER 62倍から50倍への圧縮が生じれば-20%前後の下落が発生しうる。

データソース

免責事項: 本レポートは公開情報に基づく分析であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は各自の責任においてお願いいたします。記載の予測値は一定の前提に基づく試算であり、将来の業績を保証するものではありません。

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