開示要約
東京都競馬は2026年8月14日、第103期中間期(2026年1月〜6月)のを提出した。売上高は19,824百万円で前年同期比2.7%増、営業利益は7,357百万円で同3.9%増、経常利益は7,400百万円で同4.6%増、親会社株主に帰属する中間純利益は4,940百万円で同2.4%増となった。1株当たり中間純利益は189円76銭。 セグメント別では、主力の公営競技事業がSPAT4(地方競馬のネット投票サービス)の売上増加などで売上高14,972百万円(同2.9%増)、セグメント利益6,361百万円(同2.5%増)。倉庫賃貸事業は売上高3,093百万円(同2.4%増)、サービス事業はセグメント利益265百万円(同125.9%増)と伸びた。一方、遊園地事業はゴルフ練習場の利用者減少などで売上高654百万円(同5.5%減)、セグメント損失536百万円(前年同期は損失502百万円)となった。 純資産は前期末比3,434百万円増の98,337百万円、は75.3%から77.8%へ上昇。営業活動によるキャッシュ・フローは4,911百万円(前中間連結会計期間は9,416百万円)。 8月7日の取締役会では1株60円、総額1,562百万円のを決議した(前年同期は45円)。1月30日には自己株式680,000株を消却している。今後の焦点は下期の遊園地事業の集客動向。
影響評価スコア
🌤️+1i売上高19,824百万円(前年同期比2.7%増)、営業利益7,357百万円(同3.9%増)、経常利益7,400百万円(同4.6%増)と増収増益を確保し、利益の伸びが売上を上回った。公営競技事業のSPAT4売上増に加え、サービス事業がセグメント利益265百万円(同125.9%増)と伸びたことが寄与している。ただし遊園地事業の損失は502百万円から536百万円へ拡大しており、屋外プールが稼働する下期の回復度合いが通期の利益水準を左右する。
8月7日の取締役会で1株60円・総額1,562百万円の中間配当を決議し、前年同期の45円から15円引き上げた。加えて1月30日に自己株式680,000株を消却し、発行済株式総数は28,084,854株となっている。期中平均株式数は26,691,004株から26,038,514株へ減少し、1株当たり中間純利益189円76銭の押し上げ要因となった。自己株式保有比率は7.27%で追加還元の余地も残る。
サービス開始30周年のSPAT4は全国の地方競馬を延べ634日・7,324レース発売し、公式アプリに「まとめて投票機能」等を追加した。倉庫賃貸事業ではシェア倉庫「KuraFit」の第2期区画を1月にオープンし、勝島第2地区のマルチテナント型倉庫も高稼働を維持している。伊勢崎オートレースでは場外発売所を西投票所へ移転する施設再編を進めた。既存資産の稼働率改善が軸で、新規事業領域への展開は本開示では示されていない。
半期報告書は8月7日に決議済みの中間配当や中間期の業績を法定様式で追認する性格が強く、新規情報は限定的である。東京都30.68%、特別区競馬組合14.11%という安定株主構成を踏まえると需給面の変動要因も本開示からは見出しにくい。売上高2.7%増・経常利益4.6%増という進捗を踏まえ、当面の株価材料は下期の遊園地事業の集客動向に移る。
監査法人日本橋事務所の期中レビューでは、中間連結財務諸表が適正に表示していないと信じさせる事項は認められなかった。事業等のリスクに重要な変更はなく、重要な後発事象の記載もない。負債合計は前連結会計年度末比3,037百万円減の27,844百万円、自己資本比率77.8%と財務基盤は安定している。他方、社外監査役1名が5月15日に退任し役員構成は男性10名・女性2名(女性比率16.7%)となった点は確認事項として残る。
総合考察
総合評価を最も押し上げたのは株主還元である。を45円から60円へ15円引き上げた判断は、前期通期の親会社株主に帰属する当期純利益10,461百万円に対し上期だけで4,940百万円を積み上げた収益力と、77.8%という財務余力を背景に読める。1月の680,000株消却と併せ、資本効率を意識した姿勢が続いている。 一方で増益の質には濃淡がある。営業利益3.9%増のうちサービス事業の125.9%増は前年の不動産取得税が剥落した一過性要因であり、主力の公営競技事業は2.5%増と一桁前半にとどまる。遊園地事業も損失が拡大しており、業績と株主還元が上振れる一方で市場反応とガバナンスは中立圏という構図になった。 注視点は3つある。第1に、年間入場者の大半を集める屋外プール稼働期を含む下期に、遊園地事業が上期の損失536百万円をどこまで取り戻すか。第2に、営業キャッシュ・フローが9,416百万円から4,911百万円へ落ちた主因である売上債権1,288百万円増が下期に反転するか。第3に、大井競馬場の賃貸借契約が2027年3月31日に満了するため、勝馬投票券売上高の4.5%という賃貸料条件の更新動向である。