開示要約
株式会社INPEXが2026年12月期の中間期(2026年1月〜6月)の実績をまとめたです。売上収益は1兆4億円で、前年同期比483億円、4.6%の減収となりました。原油の販売数量が22.8%減の55,170千バレルへ落ち込んだことが主因で、原油売上収益は10.9%減の6,949億円、一方で天然ガス売上収益は8.2%増の2,719億円でした。 減収でも利益は伸びています。海外原油の平均販売価格が1バレル79.51米ドルと8.2%上昇し、売上の平均為替レートも1米ドル158円37銭と6.7%の円安になりました。営業利益は0.3%増の6,187億円、法人所得税費用が10.7%減ったことも重なり、親会社の所有者に帰属する中間利益は17.7%増の2,631億円、1株当たり226円33銭となりました。 セグメント別では豪州イクシスプロジェクトの利益が24.5%増の1,730億円となった半面、国内石油・天然ガス事業の利益は54.4%減の78億円にとどまりました。営業活動によるキャッシュ・フローは1,259億円増の5,538億円です。 株主還元は、8月7日の取締役会で1株56円の(総額651億円)と、上限5,000万株・1,400億円のを決議しました。カザフスタンのカシャガン油田をめぐる行政手続の係争継続が今後の焦点です。
影響評価スコア
🌤️+2i売上収益は1兆4億円と4.6%減ったが、親会社の所有者に帰属する中間利益は17.7%増の2,631億円へ伸びた。原油販売数量が22.8%減る一方、海外原油の平均価格が1バレル79.51米ドルへ8.2%上昇し、平均為替レートも158円37銭と6.7%の円安に振れて減収を和らげた。増益には法人所得税費用の10.7%減とその他の営業収益456億円も効いており、本業の数量成長による増益ではない点は割り引いて見る必要がある。
8月7日の取締役会で1株56円の中間配当を決議し、前年同期の50円から増配となった。あわせて上限5,000万株・1,400億円の自己株式取得を決議しており、発行済株式(自己株式を除く)の4.3%に相当する規模である。中間期にも99.75億円を取得済みで、資本効率の向上と株主還元の充実という決議理由どおり還元姿勢は厚い。親会社所有者帰属持分比率60.8%と財務余力も残り、還元の継続性を支える。
豪州イクシスプロジェクトのセグメント利益が24.5%増の1,730億円と全体を牽引し、主力資産の収益力が確認できた。経済産業大臣が保有していた株式会社INPEX南西カスピ海石油の株式49%を599億円で取得し、カスピ海権益の支配を強めた点も中長期の資源ポートフォリオに効く。LNG等の購入契約残高は1兆8,743億円から3兆528億円へ拡大し、調達基盤が厚みを増した半面、長期の支払義務も膨らんでいる。
1,400億円の自己株式取得と56円への増配が同時に示され、需給と還元の両面で市場が反応しやすい材料が揃った。ブレント原油は期初の1バレル60.75米ドルから期末72.92米ドルへ戻し、期末公示仲値も162円45銭と前期末から5円91銭の円安で、業績前提は足元で追い風にある。ただ原油販売数量の22.8%減が続けば価格と為替に頼る構図が意識されやすく、反応の持続力は数量の回復次第となる。
カザフスタンのカシャガン油田の硫黄貯蔵をめぐる行政指示違反で、2審およびカセーション審ともオペレーターの訴えが棄却され、強制執行手続きが開始された。会社は生産操業への重要な影響は確認されず金銭的負担の可能性も低いとして引当金を計上していないが、係争は継続中で不確実性が残る。経済産業大臣が23.81%と甲種類株式を保有し重要議案に拒否権を持つ資本構成も、機動的な資本政策の制約となりうる。
総合考察
総合スコアを最も押し上げたのは株主還元である。上限1,400億円・5,000万株のは発行済株式(自己株式を除く)の4.3%に及び、56円への中間増配と重なることで、原油価格や為替に業績が左右されやすい資源株にとって下値を支える性格を持つ。原資の裏打ちもあり、営業活動によるキャッシュ・フローは1,259億円増の5,538億円と、還元と開発投資を同時にこなせる水準にある。 一方で業績の中身には濃淡がある。増益は価格上昇と円安、法人所得税費用の10.7%減、その他の営業収益456億円が重なった結果で、原油販売数量が22.8%減った事実は残る。国内石油・天然ガス事業の利益が54.4%減の78億円へ落ち込んだ点も、イクシスの好調に隠れやすい弱みである。 リスク面ではカシャガン油田の行政手続が強制執行の段階へ進んだことが引っかかる。引当金が計上されていないため、状況が変われば損益に不連続な影響が出る余地がある。投資家は2026年12月期の通期決算に向けて、原油販売数量が回復するか、12月31日までのが枠どおり進むか、カザフスタンの係争の帰趨がどう動くかを確認したい。