開示要約
愛眼は第66期(2025年4月1日〜2026年3月31日)の有価証券報告書を提出した。連結売上高は15,283百万円で前期比2.8%増、は225百万円(前期は営業損失128百万円)、経常利益は300百万円(前期は経常損失47百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は155百万円(前期は3百万円)となった。1株当たり当期純利益は8円01銭、1株当たり純資産額は632円57銭である。 セグメント別では眼鏡小売事業の売上高が14,930百万円(前期比3.3%増)、セグメント利益は228百万円(前期はセグメント損失108百万円)。品目別では眼鏡が前期比3.3%増、補聴器が同7.0%増、サングラスは前年並みだった。眼鏡卸売事業は売上高352百万円(前期比12.7%減)、セグメント損失4百万円。海外眼鏡販売事業からの撤退に伴い、当期首から報告セグメントは2区分となった。 店舗は4店舗を新規出店し7店舗を閉店、10店舗を改装した。期末の店舗数は当社210店舗、子会社ネオック5店舗。設備投資は226百万円。特別損失には42百万円と投資有価証券評価損5百万円を計上した。剰余金の配当は該当事項がない。今後の焦点は、価格改定とレンズオプション提案販売による粗利率改善が持続するかどうかにある。
影響評価スコア
🌤️+1i連結売上高15,283百万円(前期比2.8%増)に対し営業利益は225百万円となり、前期の営業損失128百万円から黒字に転じた。売上総利益率は仕入コスト上昇や割引セールの影響を、価格改定と品目別売上構成比の変化が上回って1.2ポイント上昇している。経常利益300百万円、当期純利益155百万円もそろって前期を上回った。販管費10,334百万円は依然重いが、増収と粗利率改善が同時に効き、収益構造の改善が損益に表れた期となった。
剰余金の配当は該当事項がなく無配が続き、自己株式の増加も単元未満株式の買取請求による分にとどまる。当期純利益155百万円が計上されても株主への直接還元には回っていない。自己資本比率85.9%、現金及び預金4,593百万円という財務余力を抱える一方、単体の繰越利益剰余金は2,280百万円の欠損が残り、配当再開の原資確保が制約となる構図が続いている点は還元期待の重石となる。
海外眼鏡販売事業からの撤退により当期首から報告セグメントは眼鏡小売と眼鏡卸売の2区分となり、国内集中の体制が整った。準主力の補聴器は前期比7.0%増と伸び、超薄型レンズや調光機能などレンズオプションの提案販売も好調に推移。店舗は4出店・7閉店・10改装のスクラップ&ビルドを進め、眼鏡作製技能士や認定補聴器技能者の資格取得推進で専門性を高める方針を掲げる。中期の数値目標は本開示に示されていない。
有価証券報告書は既出の決算内容を追認する性格が強く、単独で株価を動かす力は限られる。1株当たり純資産632円57銭に対し株価純資産倍率は0.38倍、時価総額は50.6億円と資産面の割安感は残り、総株主総利回りも前期の0.636から1.039へ回復した。ただし1株当たり当期純利益8円01銭という水準と無配の継続を踏まえると、買い直しの材料としては力不足になりやすい。
会計監査人の有限責任あずさ監査法人は連結計算書類と計算書類の双方に適正意見を表明し、監査役会も指摘すべき事項はないと結論づけた。減損損失は42百万円で前期の88百万円から縮小している。一方で繰延税金資産1,237百万円には全額の評価性引当額が計上され、繰越欠損金780百万円が残る。招集通知では取締役会の開催回数を14回から15回へ改める記載事項の修正が公表された。
総合考察
総合スコアを最も動かしたのは業績インパクトである。が前期の損失128百万円から225百万円へ振れた原動力は、値上げと品目別売上構成比の変化による粗利率1.2ポイント改善であり、費用削減頼みではない。価格転嫁が実需に受け入れられた形で、改善の質は低くない。営業キャッシュ・フローも前期の155百万円の流出から333百万円の流入へ転じ、損益の改善が現金の動きを伴っている。 対照的に株主還元は5視点で唯一のマイナスとした。純資産12,276百万円・自己資本比率85.9%という厚い財務基盤に対して還元がゼロという不均衡が、株価純資産倍率0.38倍という評価に映り込んでいる。単体の繰越利益剰余金が2,280百万円の欠損である以上、早期の配当再開は見込みにくい。 投資家が次に確認すべきは、2027年3月期に入っても粗利率の改善と補聴器7.0%増の伸びが続くか、黒字定着を受けて配当方針が示されるかである。全額引き当てられた繰延税金資産1,237百万円の解消も収益力回復の実質的な確認材料となる。