開示要約
株式会社ウィルが2026年12月期の中間連結業績を開示した。中間連結会計期間(2026年1月1日〜6月30日)の売上高は9,020百万円で前年同期比39.1%増、営業利益は997百万円で同79.9%増、経常利益は910百万円で同84.1%増、親会社株主に帰属する中間純利益は611百万円で同83.7%増となった。1株当たり中間純利益は52円93銭。 牽引役は開発分譲事業で、売上高5,504百万円(前年同期比61.2%増)、営業利益332百万円(同121.9%増)。自社分譲物件の引渡件数が同43.8%増加した。流通事業は売上高2,208百万円(同21.2%増)、営業利益715百万円(同50.4%増)で、売却手数料単価が同15.5%上昇した。リフォーム事業の中間期末は1,097百万円(同51.0%増)。 財務面では総資産が前連結会計年度末比1,300百万円増の17,794百万円、純資産は5,778百万円、は32.5%(前年同期35.2%)。長期借入れ1,504百万円や社債発行486百万円により財務活動によるキャッシュ・フローは1,219百万円の資金増加となり、現金及び現金同等物は3,386百万円。 営業エリアの中古住宅成約件数は愛知県で前年同期比2.9%増加した一方、兵庫県・大阪府で1.4%、東京都で5.0%減少しており、下期の市況が今後の焦点となる。
影響評価スコア
🌤️+2i売上高9,020百万円(前年同期比39.1%増)、営業利益997百万円(同79.9%増)、親会社株主に帰属する中間純利益611百万円(同83.7%増)と大幅な増収増益になった。売上総利益は1,560百万円と前年同期の1,019百万円から拡大し、販売費及び一般管理費562百万円への増加を吸収している。前期通期の純利益664百万円に中間段階でほぼ到達しており、利益水準の底上げが鮮明である。
2026年3月27日の定時株主総会決議に基づき、2025年12月期の期末配当として1株21円・総額242百万円を支払った。前中間期の1株19円・総額219百万円から増えており、利益成長が還元に反映されている。中間配当の記載はなく、自己株式等として保有する株式数は100株にとどまる。大株主の株式会社岡本俊人が56.78%を保有する支配的な株主構成が続く。
2026年3月に茗荷谷営業所を開設し、東京圏でのドミナント戦略と集客窓口の拡大を進めた。流通を起点にリフォームやファイナンシャルプランニングへ接続するワンストップ体制が機能し、来店件数は前年同期比11.2%増、成約件数は同8.5%増。開発分譲では第4四半期偏重型から通年での安定収益確保への転換が進む。赤坂見附営業所は開設完了時期を2026年6月から8月へ変更した。
半期報告書は決算内容を事後的に確定させる法定開示で、サプライズ性は限定的である。ただし中間純利益611百万円が前期通期の664百万円に迫る水準にあること、リフォーム受注残高が1,097百万円(前年同期比51.0%増)に積み上がっていることは、下期を見る材料になる。東証スタンダード市場で発行済株式は11,548,000株と規模が小さく、需給面の振れは読みにくい。
太陽有限責任監査法人の期中レビューでは、中間連結財務諸表が適正に表示していないと信じさせる事項は認められなかった。事業等のリスクにも重要な変更はない。一方で自己資本比率は前年同期の35.2%から32.5%へ低下し、短期借入金4,272百万円・長期借入金3,454百万円と有利子負債が膨らんだ。支払利息は39百万円から64百万円へ増え、金利負担の重さが増している。
総合考察
総合評価を最も押し上げたのは業績インパクトである。開発分譲事業の引渡件数が前年同期比43.8%増と伸び、同事業の営業利益が121.9%増となったことが全社営業利益997百万円を牽引した。第4四半期偏重を平準化する仕入販売施策が数字として表れ、中間純利益611百万円は前期通期664百万円に肉薄する進捗となっている。 方向が相反するのが財務基盤だ。分譲用地の仕入と運転資金を賄うため長期借入れ1,504百万円と社債発行486百万円を実行した結果、は35.2%から32.5%へ低下し、支払利息は39百万円から64百万円へ増えた。販売用不動産3,083百万円と未成工事支出金4,435百万円を抱える構造上、在庫消化の遅れは即座に資金負担へ転じる。 注視点は下期の市況耐性である。東京都の中古住宅成約件数が5.0%減、兵庫県・大阪府が1.4%減と主戦場で件数が縮んでおり、上期の勢いが2026年12月期通期でどこまで続くかが問われる。2026年8月に開設時期を移した赤坂見附営業所の立ち上がりと、1,097百万円のリフォーム消化ペースが確認材料となる。