開示要約
株式会社T.S.Iは2026年8月14日、第17期中間連結会計期間(2026年1月1日〜6月30日)の半期報告書を提出した。売上高は28億53百万円と前年同期比5億91百万円の増収となり、営業損益は前年同期の34百万円の営業損失から72百万円の営業利益へ転じた。経常利益は82百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は51百万円(前年同期は11百万円の中間純損失)、1株当たり中間純利益は33円69銭となった。 セグメント別では介護事業の売上高が26億93百万円(前年同期比4億30百万円増)、セグメント利益は54百万円(前年同期は5百万円の損失)。当中間期に「アンジェス上溝」を新規開設し、2026年6月末の運営規模は37棟1,158室、全社稼働率は94.4%、オープン1年経過後拠点は96.0%と目標の97.0%を下回った。不動産事業は請負工事の計上で売上高1億60百万円(前年同期は売上高なし)、セグメント利益34百万円を計上した。 財務面は総資産59億55百万円、純資産14億76百万円、24.8%。有形固定資産の取得に5億19百万円を投じ、現金及び現金同等物は8億4百万円へ3億64百万円減少した。同日の取締役会では1株5円の(総額7,664千円、効力発生日2026年9月7日)を決議している。今後の焦点は稼働率の回復と借入に依存した拠点開発の進捗である。
影響評価スコア
🌤️+2i売上高は28億53百万円と前年同期から5億91百万円増え、営業損益は34百万円の損失から72百万円の利益へ転換した。介護事業のセグメント損益が5百万円の損失から54百万円の利益へ反転し、前年同期に売上のなかった不動産事業も1億60百万円の売上と34百万円の利益を上乗せしている。経常利益82百万円は前期通期138百万円に対し半期で6割近い水準で、増収による固定費吸収が損益改善につながった形だ。
2026年8月14日の取締役会で1株5円の中間配当(特別配当、総額7,664千円、効力発生日9月7日)を決議した。前中間連結会計期間は配当金支払額の記載がなく、還元の実施自体が前進となる。ただし名目は特別配当で継続性は示されていない。5月には従業員20名へ譲渡制限付株式報酬として自己株式12,400株を1株832円で処分しており、軽微ながら希薄化要因となる。
当中間期に「アンジェス上溝」を開設し運営規模は37棟1,158室へ拡大、2025年開設の八王子・高尾・宇都宮御幸本町はいずれも満室に到達した。2026年6月からは介護請求システム「BillMaster」の開発に着手し、開発済みの介護記録システム「CareMaster」と合わせ現場業務のデジタル化を進める。不動産事業は受注残高2億67百万円を確保し、施設開発と請負工事の両輪化が進んでいる。
半期報告書は決算内容を追認する開示だが、同日決議の1株5円特別配当と、前年同期の中間純損失11百万円から51百万円の純利益への転換は投資家の目を引きやすい材料だ。1株当たり中間純利益は33円69銭。発行済株式数1,533,100株と規模が小さく需給で値が振れやすい一方、稼働率が目標97.0%に届かなかった点は上値を抑える材料になり得る。
自己資本比率は24.8%と前期末24.4%から小幅な改善にとどまる。短期借入金は6億29百万円へ1億78百万円増え、長期借入金は28億68百万円を抱える。有形固定資産取得に5億19百万円を投じた結果、現金及び現金同等物は8億4百万円へ3億64百万円減少した。支払利息も前年同期22百万円から32百万円へ増加しており、金利上昇局面での財務負担が論点だ。期中レビューの結論に指摘事項はない。
総合考察
総合を最も押し上げたのは業績インパクトである。営業損益が34百万円の損失から72百万円の利益へ振れたのは、施設数の積み上げによる規模効果が損益分岐点を越え始めた兆候で、2026年3月の有価証券報告書で論点だった前期の営業減益とは局面が変わった。介護事業のセグメント損益が損失から54百万円の利益へ反転した点が核心で、前年同期に売上のなかった不動産事業の1億60百万円が上乗せとして効いている。 方向が相反するのがガバナンス・リスクだ。増益の裏で有形固定資産取得に5億19百万円を投じ、短期借入金は1億78百万円増、現預金は3億64百万円減った。24.8%は成長投資を借入で賄う構造を映し、支払利息が10百万円増えたことは利上げ局面で追加負担となる。 注視すべきは、オープン1年経過後拠点の稼働率96.0%が目標97.0%へ戻るか、半期で82百万円の経常利益が前期通期138百万円をどこまで上回るかである。加えて2027年4月の介護報酬改定に向けた審議、受注残高2億67百万円の工事進捗、5円が2026年12月期の期末以降も継続する還元へ移行するかが、次回の通期開示での確認点となる。