開示要約
インテグラル株式会社は2026年8月12日、第21期中間連結会計期間(2026年1月1日〜6月30日)の半期報告書を提出した。収益は15,699百万円(前年同期4,955百万円)、営業利益は12,748百万円(同2,890百万円)、親会社の所有者に帰属する中間利益は8,766百万円(同1,701百万円)となった。 増収の主因はキャリードインタレストで、10,983百万円(同1,363百万円)を計上。3号ファンドシリーズが保有する株式会社M&Iと東洋エンジニアリング株式会社の株式を売却し、分配を行い権利が確定した。受取管理報酬は3,860百万円(同3,671百万円)。非上場の投資先は金利上昇と上場類似会社の指標悪化で公正価値が減少している。 セグメント別の収益はPE投資事業14,030百万円(同4,805百万円)、不動産投資事業1,279百万円(同185百万円)。不動産1号ファンドは2026年5月に出資約束金額総額235億円でファイナルクロージングを行い、取得は29物件・540億円超に達した。 営業活動によるキャッシュ・フローは12,836百万円の収入(前年同期は456百万円の支出)、現金及び現金同等物は35,794百万円。2026年7月21日の取締役会で1株18円50銭の中間配当を決議した。2026年10月1日を効力発生日とするでグループ統括会社体制へ移行する。
影響評価スコア
🌤️+2i収益は15,699百万円と前年同期の4,955百万円から大幅に拡大し、親会社の所有者に帰属する中間利益も8,766百万円(前年同期1,701百万円)へ伸びた。牽引役はキャリードインタレスト10,983百万円で、株式会社M&Iと東洋エンジニアリング株式会社の株式売却に伴う分配確定が寄与した。ただしこれはExitのタイミングに左右される変動対価であり、受取管理報酬3,860百万円のような安定収益とは性質が異なる。投資収益総額は680百万円にとどまり、非上場の投資先の公正価値は減少している。
2026年7月21日の取締役会で1株当たり18円50銭・総額630百万円の中間配当を決議し、前年同期の17円00銭・575百万円から増額した。期末配当は1株20円00銭・総額680百万円を2026年3月25日に支払済みである。親会社の所有者に帰属する持分は70,538百万円へ積み上がった一方、持分比率は74.9%から70.7%へ低下した。自己株式は883,000株(発行済株式総数の2.52%)で、新株予約権の行使により期中に53,800株減少している。
不動産1号ファンドは2026年5月に出資約束金額総額235億円でファイナルクロージングを完了し、売買契約分を含む取得は29物件・540億円超に達した。不動産投資事業のセグメント収益は1,279百万円(前年同期185百万円)と立ち上がりが鮮明である。PE投資事業では八十島プロシード、アットホームホールディングス、STPRへ資本参加し、5号ファンドシリーズの出資約束金額総額は2,500億円規模。グローバルテック・グロース投資でもPixAI運営企業とOmio社へ新規投資し、多角化が進む。
半期報告書は法定開示であり、収益・利益の数値そのものが単独で株価を動かす材料としては限定的である。もっとも、キャリードインタレスト10,983百万円の実現額と現金及び現金同等物35,794百万円への増加は、Exit進捗と資金の厚みを裏付ける。他方で投資収益総額は680百万円と小さく、レベル3に分類される51,480百万円の公正価値がEV/EBITDA倍率5.0倍〜16.2倍、加重平均資本コスト7.0%〜14.6%という前提に依存する点は割引要因となる。
事業等のリスクは前事業年度の有価証券報告書から重要な変更がなく、後発事象も該当なし、EY新日本有限責任監査法人の期中レビューでも適正に表示していないと信じさせる事項は認められていない。一方で、公正価値で評価している子会社からの借入金が1,300百万円から10,001百万円へ増加し、関連当事者取引の規模も拡大した。役職員出資ビークルである3号・5号GP組合との出資・分配など利害関係者との取引が多く、2026年10月の持株会社移行後は利益相反の調整が実務課題となる。
総合考察
総合スコアを最も押し上げたのは業績インパクトだが、その中身は精査を要する。中間利益8,766百万円の大半はキャリードインタレスト10,983百万円の実現によるもので、3号ファンドシリーズのExitが集中したタイミング要因に依存する。管理報酬3,860百万円は前年同期の3,671百万円から小幅増にとどまり、ストック収益の底上げではなくフロー収益の一過性の集中と捉えるのが妥当だ。 構造面ではプラスが積み上がる。不動産1号ファンドの235億円クロージングと29物件・540億円超の取得は、PE単一依存からの脱却が実行段階に入ったことを示す。市場反応の評価を抑えたのは、投資収益総額が680百万円にとどまり、非上場先の公正価値が金利上昇と類似会社指標の悪化で目減りしている点にある。レベル3資産51,480百万円はEV/EBITDA倍率が10%動けば子会社投資だけで1,112百万円振れる感応度を持つ。 注視点は、2026年10月1日の持株会社移行が予定どおり効力を生じるか、2026年12月期通期でキャリー剥落後の利益がどこに着地するか、そして5号ファンドシリーズ(2,500億円)が回収局面へ入る時期である。