開示要約
清水建設は第124期(2025年度)の連結業績を報告した。連結売上高は2兆578億円(前期比+5.8%)、連結経常利益は1,223億円(同+70.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,266億円(同+91.8%)となった。純利益は特別利益に投資有価証券売却益を計上したことが押し上げ要因で、ROEは前期7.6%から13.8%へ上昇した。 中核の建設事業は売上高1兆8,453億円(+8.8%)、売上総利益2,186億円(+38.5%)。国内建築工事の採算改善と国内外建設子会社の採算改善が寄与した。一方、開発事業等は売上高2,125億円(△14.4%)、利益394億円(+4.9%)となった。年間配当金は72円(中間22円+期末50円)で連結配当性向は38.6%、負ののれん発生益59億円を除くと40.5%となる。 財務面では自己資本比率36.8%、D/Eレシオ0.58倍。は2025年度に39銘柄・1,091億円を売却した。当期はあおみ建設・日本道路の子会社化等のM&Aも実行した。 2026年度は〈2024-2026〉最終年度にあたり、連結売上高2兆3,100億円(+12.3%)、経常利益1,480億円(+21.0%)、当期純利益1,300億円(+2.7%)を見込む。の縮減進捗と建設事業の採算改善の持続が今後の焦点となる。
影響評価スコア
☀️+3i連結経常利益は1,223億円(前期比+70.7%)、当期純利益は1,266億円(同+91.8%)と大幅増益。中核の建設事業で国内建築の採算改善が進み、売上総利益は2,186億円(+38.5%)へ拡大した。純利益は投資有価証券売却益という特別利益が押し上げた面もあるが、本業の建設採算改善は継続的な収益力向上を示す。2026年度も経常利益1,480億円(+21.0%)と増益見通しで、業績モメンタムは強い。
年間配当は72円(中間22円+期末50円)で前期から増額、連結配当性向は38.6%(負ののれん発生益59億円を除くと40.5%)と目安の40%程度に沿う水準。加えて業績連動型株式報酬制度の新設を株主総会に付議し、役員報酬とROE等KPIの連動を強める。政策保有株式の段階的縮減も継続しており、資本効率と株主還元を重視する姿勢が明確に表れている。
中期経営計画〈2024-2026〉最終年度に向け、あおみ建設(海洋土木・洋上風力)、日本道路、American Engineering Corporation(Okinawa)の子会社化などM&Aで事業ポートフォリオを拡充。成長投資は3ヶ年計画3,600億円に対し2,350億円、別枠M&A枠897億円を執行した。SEP船BLUE WINDを活用した洋上風力EPCや不動産・エンジニアリング領域の強化など、建設以外の収益基盤多様化を進めている。
大幅増益とROE13.8%への改善、増配、政策保有株式の縮減進捗は、資本効率改善を評価する市場の関心に沿う内容で、株価には支援材料となりやすい。ただし純利益の急増には投資有価証券売却益や負ののれん発生益といった一過性要因が含まれ、当期純利益の2026年度見通しは1,300億円(+2.7%)と伸びが鈍化する点は、市場が本業の持続力を見極める材料となる。
政策保有株式の連結純資産比は24.4%と2026年3月末目標の20%以下には未達だが、売却合意済み分を除くと9.1%まで低下し縮減は進む。取締役11名(社外4名)体制の維持と業績連動型株式報酬導入でガバナンス強化を図る。リスク面では建設資材・労務費の高止まりや人手不足、海外経済の不確実性が受注採算に影響する可能性があり、単体2026年度受注見通しは前期比△3,481億円の1兆5,500億円と減少を見込む。
総合考察
総合スコアを最も押し上げたのは業績インパクトで、連結経常利益+70.7%・当期純利益+91.8%という大幅増益と、ROEの7.6%から13.8%への改善が中心だ。建設事業の売上総利益が+38.5%と伸び、国内建築の採算改善という本業要因が効いている点は質の高い増益といえる。一方で当期純利益の急増は投資有価証券売却益や負ののれん発生益といった一過性要因を含むため、2026年度の当期純利益見通しが+2.7%(1,300億円)にとどまる点との間に方向の温度差がある。株主還元・戦略面も配当性向40.5%(のれん除く)、業績連動株式報酬の新設、あおみ建設等のM&A、の1,091億円売却と資本効率志向が一貫している。留意点は、単体2026年度受注見通しが前期比△3,481億円の1兆5,500億円と減少を見込むことと、縮減が連結純資産比24.4%と当期末目標20%に未達である点。投資家は次期中計での還元方針と、資材・労務費高止まり下での建設採算の持続性、および2026年度受注の回復ペースを注視すべきである。