EDINET有価証券報告書-第106期(2025/04/01-2026/03/31)☁️0→ 中立確信度75%
2026/06/25 09:11

科研製薬、売上18.3%減で営業損失899百万円 年配当は190円

開示要約

科研製薬の第106期(2025年4月1日〜2026年3月31日)の連結売上高は76,871百万円と前期比18.3%減、営業損益は899百万円の損失(前期は営業利益21,034百万円)、経常損益は206百万円の損失となった。親会社株主に帰属する当期純利益は2,144百万円で前期比84.6%減、1株当たり当期純利益は56円57銭となった。 減収の主因は、前期の増収要因であった「NM26」の知的財産譲渡及び販売提携オプション契約に係る契約一時金8,600万米ドルと「STAT6阻害剤」ライセンス契約の契約一時金3,000万米ドルの反動、および爪白癬治療剤「クレナフィン」のオーソライズド・ジェネリックへの置き換え進行である。研究開発費は20,585百万円と前期比9.9%増加した。セグメント別では薬業が74,328百万円(18.8%減)、不動産事業が2,543百万円(2.5%増)。 パイプラインでは難治性脈管奇形「KP-001」とアタマジラミ症「KAR」が国内第Ⅲ相試験で主要評価項目を達成し、いずれも2026年度上期中の製造販売承認申請を予定する。尋常性乾癬「ESK-001」も国際共同第Ⅲ相試験で主要評価項目を達成した。 期末配当は1株95円、中間95円と合わせ年間190円とする議案を第106回定時株主総会に付議する。今後の焦点は2026年度上期に予定される2件の承認申請の進捗である。

影響評価スコア

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業績インパクトスコア -3

連結売上高は76,871百万円と前期比18.3%減、営業損益は899百万円の損失に転落し、前期の営業利益21,034百万円から大きく後退した。経常損益も206百万円の損失、親会社株主に帰属する当期純利益は2,144百万円と前期比84.6%減にとどまる。前期の契約一時金の反動と「クレナフィン」のAG置き換えが減収要因で、研究開発費20,585百万円(前期比9.9%増)が損益を圧迫した。EDINET DB基準のROEは1.4%と前期の9.4%から低下している。

株主還元・ガバナンススコア +2

期末配当は1株95円、中間配当95円と合わせ年間190円と前期同水準を維持する議案を付議し、配当総額は3,616百万円となる。1株当たり当期純利益56円57銭を大きく上回る還元水準である。前期に自己株式180万株を取得価額8,273百万円で取得し2025年5月30日に消却済み。政策保有株式は5銘柄を3,115百万円で売却し、縮減方針への進捗率は56.0%に達した。取締役8名のうち3名が独立社外取締役である。

戦略的価値スコア +3

難治性脈管奇形「KP-001」とアタマジラミ症「KAR」が国内第Ⅲ相試験で主要評価項目を達成し、いずれも2026年度上期中の製造販売承認申請を予定する。尋常性乾癬「ESK-001」も国際共同第Ⅲ相試験で主要評価項目を達成した。遺伝性血管性浮腫治療剤「エクテリー」を2026年3月18日に国内発売し、「ナベニバルト」「gMSC1」「NM81」のライセンス契約も締結。長期経営計画2031では連結売上高1,000億円、連結営業利益285億円、連結ROE10%以上を目標に掲げる。

市場反応スコア -1

営業・経常段階での赤字転落が見出しとなる一方、年間配当190円は据え置かれ株主還元の方向性は前期から変わらない。EDINET DBによれば営業キャッシュ・フローは前期の297.80億円の流入から110.79億円の流出へ反転し、現金及び現金同等物は507.05億円まで減少した。他方で第Ⅲ相試験の主要評価項目達成が3品目重なり、2026年度上期の承認申請2件が近接する。損益の悪化と開発進展が同時に材料化する構図にある。

ガバナンス・リスクスコア -1

アーク有限責任監査法人は連結計算書類・計算書類の双方に無限定適正意見を表明し、監査役会も取締役の職務執行に法令・定款違反の重大な事実は認められないとした。一方で医薬品事業用資産の長期前払費用に843百万円の減損損失を割引率6.4%の使用価値により計上。Aadi Bioscience社買収の暫定的な会計処理が確定し、のれんは13,223百万円から8,575百万円減少して4,648百万円となり、販売権が10,467百万円増加した。

総合考察

総合スコアを最も押し下げたのは業績インパクトである。売上高76,871百万円(前期比18.3%減)は前期の契約一時金8,600万米ドルと3,000万米ドルが剥落した反動であり、営業損失899百万円は研究開発費20,585百万円という戦略投資の増額と表裏の関係にある。一過性のライセンス収益の有無で損益が大きく振れる収益構造が、あらためて数字の上で可視化された年度と読める。 これに対し戦略的価値は明確なプラスに働く。「KP-001」「KAR」がともに国内第Ⅲ相で主要評価項目を達成し2026年度上期に申請が集中するため、当期の赤字は将来収益に向けた前倒し費用という解釈が成り立つ。株主還元も年間190円を据え置き、1株利益56円57銭を大きく超える配当を自己資本比率82.8%という財務の厚みで支えている。 他方でEDINET DBの数値では営業キャッシュ・フローが297.80億円の流入から110.79億円の流出へ反転し、現金及び現金同等物は507.05億円まで減少した。無形固定資産242.91億円を抱えるなか、Aadi買収に伴う販売権104.67億円への再配分は将来の減損感応度を高める。投資家は2026年度上期のKP-001とKARの申請動向、および2027年3月期の営業損益が黒字に復帰するかを注視すべきである。

出典: EDINET(金融庁)(改変あり)
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