開示要約
NITTOKUは第54期(2025年4月1日〜2026年3月31日)の連結売上高が424億12百万円(前期比27.5%増)、営業利益54億39百万円(同385.9%増)、経常利益54億92百万円(同348.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益34億39百万円(同163.0%増)となり、売上・利益ともに過去最高になったと報告した。1株当たり当期純利益は203円85銭。 全売上の95.5%を占めるワインディングシステム&メカトロニクス事業は売上高405億13百万円(前期比28.7%増)、セグメント利益61億15百万円(同242.3%増)。米国等海外向けの売上が盛況だったことに加え、新規開発要素を含む案件の割合が減少し、価格転嫁とコスト削減が奏功した。一方、当社個別ベースの期末は205億68百万円(前期比10.6%減)となった。 特別損失796百万円には仲裁関連費用565百万円と投資有価証券評価損140百万円を含む。剰余金の配当議案は期末52円(配当総額880,073,064円、効力発生日2026年6月29日)で、中間配当30円と合わせ年間82円。2026年4月13日には株式会社日本政策投資銀行との共同出資会社NITTOKU KYOTO株式会社が、株式会社片岡製作所のレーザ加工システム事業を取得原価2,100百万円で譲り受けた。
影響評価スコア
🌤️+2i連結売上高424億12百万円(前期比27.5%増)、営業利益54億39百万円(同385.9%増)と大幅な増収増益で過去最高を更新した。営業利益率は前期の3.4%から12.8%へ跳ね上がっている。米国等海外向け売上の伸長に加え、新規開発要素を含む案件の割合減少による原価改善、価格転嫁とコスト削減が同時に効いた形だ。EBITDAマージンも7.0%から15.7%へ戻り、ROICは1.8%から7.7%へ回復している。
年間配当は中間30円と期末52円の合計82円となり、前期の42円から40円の増配となった。期末配当総額は880百万円、効力発生日は2026年6月29日。EPS203円85銭に対する配当性向は40.2%で、連結配当性向40%以上という株主還元方針に沿う。ROEは前期の3.5%から9.0%へ回復した。第2号議案の取締役3名選任では新任1名と社外取締役2名の再任が諮られ、補欠監査役1名の選任も併せて提案されている。
2026年4月13日、株式会社日本政策投資銀行との共同出資で設立したNITTOKU KYOTO株式会社が片岡製作所のレーザ加工システム事業を取得原価2,100百万円で譲り受け、ロール・ツー・ロール設備のレーザ加工やモータ、半導体関連とのシナジー創出を狙う。インドでは第一実業との共同出資でNITTOKU FA INDIAを設立済み。AIサーバー向けファン・ポンプモータ設備やヒューマノイドロボット向け小型モータへ巻線技術の応用先を広げている。
過去最高の売上・利益と年間82円への増配は株価の支持材料になりやすい。EDINET DBベースのPERは10.6倍、PBRは0.91倍と純資産割れが続いており、EPSが73円97銭から203円85銭へ拡大した分だけバリュエーションの割安感が意識されやすい局面だ。半面、主力事業の当社個別ベース期末受注残高が205億68百万円と前期比10.6%減となっており、来期の売上進捗を測る材料として警戒されうる。
特別損失796百万円のうち565百万円は仲裁関連費用で、係争コストが最終利益を押し下げた。欧州のNITTOKU EUROPE GmbH.はモビリティ関連業界の景気低迷から減損の兆候ありと判断され減損テストを実施、回収可能価額が帳簿価額を上回り減損損失は不計上となったが、有形固定資産724百万円が将来の減損リスクを抱える。同社向け債務保証残高は1,294百万円ある。
総合考察
総合スコアを最も押し上げたのは業績インパクトだ。営業利益が11億19百万円から54億39百万円へ4.9倍に膨らみ、営業利益率は3.4%から12.8%へ跳ね上がった。ただしこれは案件構成の悪化で利益が沈んだ前期の反動を多分に含む。価格転嫁とコスト削減が構造として定着したかは、2027年3月期の利益率が二桁を保てるかで初めて確かめられる。 株主還元は年間82円・配当性向40.2%と方針どおりの配分で、ROEも9.0%へ戻った。5視点で唯一逆を向くのが受注面で、当社個別の期末は10.6%減の205億68百万円まで縮んでいる。売上が受注残の取り崩しで嵩上げされた面があり、来期は受注の再加速がなければ増収の持続力が問われる。 戦略面では2,100百万円を投じたレーザ加工システム事業の取得とインド新会社が中期の収益源候補となる一方、仲裁関連費用565百万円と欧州子会社の減損兆候は残存リスクだ。注視点は2027年3月期の四半期ごとの受注動向、NITTOKU KYOTOの収益寄与、欧州事業の減損判定の3点になる。