EDINET有価証券報告書-第28期(2025/04/01-2026/03/31)🌤️+2↑ 上昇確信度75%
2026/06/25 15:30

イーレックス、最終利益2.5倍 期末配当22円へ倍増

開示要約

イーレックス株式会社が第28期(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の事業報告および計算書類を開示した。連結売上高は169,170百万円で前年度比1.2%減となった一方、営業利益は7,518百万円(同5.3%増)、税引前利益は8,974百万円(同41.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は5,332百万円(同151.7%増)となった。基本的1株当たり当期利益は68円36銭である。 事業別では、電力小売の高圧分野で販売電力量が2,959百万kWh(前年度比21.4%増)に拡大したものの、収益性が相対的に低い市場連動プランの比率上昇により利益は減少した。低圧分野は供給件数が268千件(同8.9%増)に増えた一方、販売電力量は1,139百万kWh(同15.8%減)、売上高は35,647百万円(同20.3%減)となった。燃料事業はPKSの調達価格低下と他社向け販売の増加で売上高と利益が伸長した。 期末配当は1株22円、総額1,719百万円で、前期の1株11円(総額858百万円)から引き上げる。海外ではベトナムのハウジャンバイオマス発電所が2025年4月に運転を開始し、カンボジアの水力発電所は2026年度中の商業運転開始を予定する。中東情勢を背景とした燃料価格の変動を理由に、2026年度の業績見通しは未定としており、その開示時期が今後の焦点となる。

影響評価スコア

🌤️+2i
業績インパクトスコア +2

連結売上高は169,170百万円と前年度比1.2%減ながら、営業利益7,518百万円(5.3%増)、税引前利益8,974百万円(41.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益5,332百万円(151.7%増)と利益は大きく伸びた。ただし増益には資産除去債務の見積り変更による営業利益576百万円の押し上げ、買付約定評価引当金の戻入、電力デリバティブ評価益といった非経常要因が含まれ、本業の電力小売は高圧・低圧とも減益だ。2026年度の業績見通しは未定とされ、利益水準の持続性は現時点で見通せない。

株主還元・ガバナンススコア +3

期末配当は1株22円、総額1,719百万円で、前期の1株11円(858百万円)から倍増する。効力発生日は2026年6月29日である。取締役8名選任議案では堺大祐氏と宮川世津子氏が新任となり、女性の社外取締役候補を加えつつ社外取締役3名の体制を維持する。定款変更では事業目的を電気事業・ガス事業・燃料事業などに再整理する。取締役会は当事業年度に16回開催され、社外取締役3名はいずれも全回出席しており、還元と監督体制の双方で前進が見られる。

戦略的価値スコア +3

海外事業が開発から収益化の段階へ移行しつつある。ベトナムのハウジャンバイオマス発電所(出力20MW)が2025年4月に運転を開始し、イエンバイ(現ラオカイ)省とトゥエンクアン省の各50MW案件は2027年度中の稼働を目指す。カンボジアでは水力発電所80MWが2026年度中の商業運転開始予定で、バイオマス50MWと太陽光40MWも政府承認済みである。2026年4月にはビナコミンパワー社と石炭火力でのバイオマス混焼商用化の共同検討覚書を締結し、設備投資は13,836百万円に達した。

市場反応スコア +1

配当倍増と最終利益151.7%増という数字は好感されやすい材料である。一方で売上高は減収で、本業の電力小売は高圧・低圧とも減益に沈んでおり、増益の相当部分が資産除去債務の見積り変更や引当金戻入といった一時的要因に依存する点は割り引かれやすい。さらに中東情勢による燃料価格変動を理由に2026年度の業績見通しを未定としているため、当面は業績予想の開示タイミングと水準が値動きの主要な材料になりやすい。

ガバナンス・リスクスコア -1

財務面のリスク要因は残る。持分法適用会社SPHP CO.,PTE.LTD.向けの関係会社長期貸付金15,444百万円には損失評価引当金を計上しておらず、連結の保証債務等は15,993百万円に上る。取引先エネトレード株式会社の民事再生手続開始申立を受け707百万円を資産から直接控除した。石炭火力の糸魚川発電所は2026年度も運転を見合わせる予定で、ハウジャンなど海外2社は稼働が当初計画を下回り、将来の減損計上の可能性が注記されている。

総合考察

総合スコアを最も押し上げたのは株主還元と海外事業の進捗である。期末配当を1株11円から22円へ倍増させた判断は、業績連動報酬の目標である税引前利益7,510百万円を上回る8,974百万円で着地した実績と、資本合計77,663百万円まで積み上がった財務基盤に裏打ちされている。一方で業績面の評価は抑制的にならざるを得ない。減収下の増益であり、資産除去債務の見積り変更による営業利益576百万円の押し上げや買付約定評価引当金の戻入など非経常要因の寄与が大きく、本業である電力小売は高圧・低圧とも減益だからである。方向感の相反はリスク軸に表れる。SPHP向け貸付15,444百万円の無引当や保証債務15,993百万円は、カンボジア水力80MWなど海外投資拡大の裏返しであり、案件が計画通り稼働するかに帰結が左右される。注視点は、未定とされた2026年度業績見通しの開示時期と水準、2026年度中とされるカンボジア水力の商業運転開始、そして高圧での市場連動プラン比率上昇が採算をさらに圧迫するかの3点である。

出典: EDINET(金融庁)(改変あり)
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