開示要約
株式会社なとりが第78期(2025年4月1日〜2026年3月31日)の事業報告および連結計算書類を開示した。連結売上高は485億84百万円(前年同期比0.6%減)、営業利益は18億90百万円(同4.0%減)、経常利益は19億28百万円(同4.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は13億42百万円(同0.7%減)となった。 製品群別では、2025年6月から段階的に価格改定と内容量変更を進めたいか製品などの販売数量が一時的に落ち込み、水産加工製品が194億28百万円(3.8%減)と減収になった。一方でチーズ鱈製品などの酪農加工製品は94億88百万円(6.7%増)、ナッツ製品を含む農産加工製品は23億4百万円(11.6%増)と伸びた。会社側は原材料価格の上昇に加え、エネルギー価格・物流費・人件費の増加を減益要因に挙げ、利益は期初に公表した業績予想を上回ったとしている。 配当は中間13円・期末13円の年間26円(前期24円)で、創業88周年記念配当2円を含む。は64.99%、1株当たり純資産は2,199円70銭、1株当たり当期純利益は106円70銭。第79期は増収増益を見込む。今後の焦点は価格改定の浸透と原材料コストの推移である。
影響評価スコア
☁️0i連結売上高は485億84百万円と前年同期比0.6%減、営業利益は18億90百万円で同4.0%減、経常利益は19億28百万円で同4.8%減となり、増収基調が一服した。2025年6月から進めた価格改定に伴ういか製品の数量減に加え、いか原料を中心とする原材料価格の上昇とエネルギー・物流・人件費の増加が利益を圧迫している。ただし純利益は13億42百万円で0.7%減にとどまり、利益は期初に公表した業績予想を上回った。
年間配当は中間13円・期末13円の26円となり、前期の24円から2円の増配。うち2円は創業88周年記念配当で、記念配当分が翌期に剥落する可能性には留意が要る。会社は中長期の内部留保を維持しつつ安定的・継続的な増配に努める方針を掲げ、自己資本比率は64.99%へ上昇した。自己株式の取得は単元未満株の買取100株にとどまり、保有する2,449,756株の処分・活用は検討段階にある。
第6次中期経営計画「Next Value up for 80」の4年目として、なとりファンの拡大・人材活躍・SDGsとガバナンス強化の3つの重点戦略を継続した。おつまみ用途に加えおやつ需要も狙った新製品の投入が奏功し、酪農加工製品は6.7%増の94億88百万円、農産加工製品は11.6%増の23億4百万円と伸長。設備投資は11億62百万円を実施し、第79期は新製品投入とインストアシェアアップで増収増益を見込む。
本開示は第78期の事業報告・連結計算書類と株主総会の議案が中心で、売上高485億84百万円・当期純利益13億42百万円という着地や期末配当13円は、いずれも2026年5月13日までに取締役会で確定済みの数値である。新たな方針変更や業績見通しの修正は含まれておらず、株価を動かす材料は限定的。第79期に会社が見込む増収増益の進捗が今後の株価材料となる。
三優監査法人は連結計算書類・計算書類のいずれについても、適正に表示しているものと認める監査意見を表明した。監査役会も取締役の職務執行に不正の行為や法令・定款に違反する重大な事実は認められないとしている。社外取締役3名は当事業年度の取締役会19回すべてに出席。第78回定時株主総会では取締役9名(新任2名・社外3名)と監査役1名の選任を上程し、買収防衛策は導入していない。
総合考察
総合スコアを最も押し下げたのは業績インパクトである。売上高485億84百万円は3期ぶりの減収で、経常利益19億28百万円は第77期の6.3%減に続く2期連続の減益となった。EDINET DBの時系列でも経常利益は2024年3月期の21億62百万円から2期連続で減少しており、価格改定を進めてもいか原料を中心とする原材料高とエネルギー・物流・人件費の増加を吸収しきれない構図が続いている。 一方で株主還元と戦略面は逆方向に働いた。年間26円への増配は前期24円からの上積みで、配当性向は24.4%と余力を残す。ただしROEは4.98%と前期の5.27%から低下し、が64.99%まで積み上がった資本の効率性は課題として残る。PBRは0.87倍と1倍を下回る水準にある。 注視すべきは、会社が第79期(2027年3月期)に掲げる増収増益の達成度である。とりわけ酪農加工製品の6.7%増・農産加工製品の11.6%増が水産加工製品の3.8%減を補い続けられるか、そして創業88周年記念配当2円が剥落した後も増配基調を維持できるかが焦点となる。