開示要約
北海道中央バス(証券コード9085)の第83期(2025年4月~2026年3月)は、連結売上高が38,384百万円と前期比6.7%増、営業利益2,651百万円(同17.1%増)、経常利益2,987百万円(同13.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,780百万円(同22.9%増)となり、二期連続で過去最高益を更新しました。1株当たり当期純利益は1,062.96円と前期の864.85円から大きく伸びています。 事業別では、建設業の営業利益が52.2%増と牽引したほか、旅客自動車運送事業は乗務員不足で札幌地区を中心に路線廃止・減便を実施しつつ、2024年12月の運賃改定効果で増収を確保しました。剰余金処分案は、普通配当50円に10円を加えた1株60円(総額173百万円)です。 ガバナンス面では、筆頭株主である中央バス総業(出資比率37.04%)との相互保有関係をめぐり、株主から「ガバナンス検証委員会」の設置を求める定款変更議案(第5号議案)が提出され、取締役会は反対意見を表明しました。 乗務員不足に伴う減便や、相互保有構造をめぐる株主提案の帰趨が今後の焦点となります。
影響評価スコア
🌤️+1i第83期は経常利益2,987百万円(前期比13.2%増)、親会社株主純利益2,780百万円(同22.9%増)と二期連続で最高益を更新した。EPSは前期864.85円から1,062.96円へ拡大。建設業の営業利益が52.2%増と牽引し、運賃改定効果で旅客運送も増収を確保。減益要因はなく、業績面は明確なプラス材料である。
配当は普通50円に特別配当10円を加えた1株60円(総額173百万円)で、当期決算を踏まえた特別配当の上乗せは還元姿勢の前進といえる。ただしEPS1,062.96円に対し配当性向は6%弱にとどまり、二期連続最高益の水準に照らすと還元は依然抑制的である。特別配当の恒常性も示されておらず、純資産33,060百万円という厚い内部留保と還元のバランスが今後問われやすい。
乗務員不足で札幌圏の路線廃止・減便が続く一方、運賃改定や新千歳空港連絡バスの増便、ニセコ・小樽天狗山など観光事業の底堅さで多角化の分散効果が働いている。2025年2月に『第二の創業』として経営改革対策本部を設置しDX推進を掲げるが、公共交通の構造的な需要減という課題は残り、戦略的評価は中立寄りのプラス。
最高益更新と特別配当は株価の支援材料となり得るが、株主提案ではPBR0.60倍(2026年3月末終値ベース)と資本市場からの評価の低さが指摘されている。筆頭株主・中央バス総業の37.04%保有と相互保有構造により浮動株が乏しく流動性が限られる点が評価を抑制する構図で、業績好調がそのまま株価上昇に直結しにくい面がある。株主提案の帰趨次第で見直しの余地も残る。
筆頭株主の中央バス総業(議決権40.05%)と当社(同社株24.37%保有)の相互保有をめぐり、株主が循環的支配構造だとして是正のためのガバナンス検証委員会設置を株主提案した。取締役会は反対しガバナンス上の問題はないとするが、こうした対立の顕在化自体が構造的リスクとして意識されやすく、評価はマイナス方向に振れる。
総合考察
総合評価を最も押し上げたのは業績インパクトである。経常利益2,987百万円(前期比13.2%増)、純利益2,780百万円(同22.9%増)と二期連続で最高益を更新し、EPSは1,062.96円へ拡大。建設業の営業利益52.2%増と運賃改定が牽引した点は質の高い増益といえる。10円を含む年60円の配当も一定の前進だが、EPS1,062円に対し配当性向は6%弱にとどまり、還元余地の大きさが逆に意識される。 一方で評価を相殺するのがガバナンス軸のマイナスだ。筆頭株主・中央バス総業との相互保有(同社の当社議決権40.05%、当社の同社株24.37%保有)をめぐり、循環的支配構造の是正を求める株主提案が提出され、PBR0.60倍という低評価も指摘された。業績と株主還元は上向く一方、資本構造・ガバナンスの懸念が株価評価の重石となる相反構造にある。 今後は2026年6月26日の株主総会における第5号議案(ガバナンス検証委員会設置)の賛否と、札幌圏で続く減便・路線廃止による旅客運送事業の収益維持力、そしての恒常化余地が主要な注視点となる。