開示要約
ビーマップは2026年6月25日、第28期(2026年3月期)の有価証券報告書を提出した。連結売上高は1,721,303千円で前年同期比15.19%増となる一方、営業損失97,784千円(前期は営業損失182,808千円)、経常損失100,596千円、親会社株主に帰属する当期純損失151,553千円を計上した。特別損失は減損損失16,204千円と棚卸資産評価損36,237千円で、特別利益に投資有価証券売却益9,587千円を計上している。 モビリティ・イノベーション分野は交通系ICカード関連サービスや私鉄系アプリ運用の小規模案件に留まり、ワイヤレス・イノベーション分野も新規構築の大型案件獲得には至らなかった。現金及び預金は282,108千円で前連結会計年度末から126,996千円増加した。2025年4月17日と2026年3月23日ので計142,373千円を調達している。 連結・個別の計算書類にはが注記された。当社は2026年3月31日付で東京証券取引所から整理銘柄指定と2026年10月1日付上場廃止の通知を受けている。理由は上場維持基準(時価総額基準)への不適合である。株主総会には資本金813,697,080円と資本準備金95,619,742円を減少し、繰越利益剰余金のマイナス749,511,160円を填補する議案が付議された。
影響評価スコア
⚡-3i連結売上高1,721,303千円は前年同期比15.19%増で、EDINET DBで遡れる過去6期のうち最高水準にある。営業損失も97,784千円と前期182,808千円から46.5%縮小し、営業キャッシュ・フローの流出は250,376千円から122,303千円へ縮小した。ただし2022年3月期以降5期連続の営業損失であり、減損損失16,204千円と棚卸資産評価損36,237千円が最終赤字151,553千円を押し上げている。増収が利益に結び付かない構図は解消していない。
連結の利益剰余金は△728,812千円、単体の繰越利益剰余金は△749,511,160円に達し、配当等の株主還元は実施されていない。株主総会に付議された資本金813,697,080円・資本準備金95,619,742円の減少は純資産の部の勘定振替にとどまり、1株当たり純資産105円11銭も発行済株式総数3,561,900株も変わらない。欠損填補後の配当再開時期についても具体的な言及はない。
デジタルきっぷ「ただチケ」の事業化、transit managerや私鉄系アプリの拡充、IoT・ローカル5G、集合住宅向けアパらくWi-Fiなど再建施策は並ぶが、本開示では売上寄与が限定的だった旨の記載にとどまる。新設した宇宙・防衛事業準備室も検証用機材の販売段階である。2026年10月1日の上場廃止で公開市場からのエクイティ調達手段を失えば、直近2回の第三者割当計142,373千円のような資本増強の選択肢は狭まる。
株式は2026年3月31日から9月30日まで整理銘柄に指定されており、株価は業績の改善度よりも上場廃止までの売買需給に左右される局面にある。上場廃止理由が時価総額基準での上場維持基準不適合である以上、増収や営業損失の縮小といった材料が株価に織り込まれる余地は限られる。EDINET DBのTSRは0.887と、ベンチマークの株価指数1.79を大きく下回る。
そうせい監査法人は連結・個別双方の監査報告書に継続企業の前提に関する重要な不確実性の記載を付した。繰延税金資産は繰越欠損金141,470千円分を含め評価性引当額247,653千円が計上され、貸借対照表計上額はゼロで、課税所得発生の見通しが立っていない。関連当事者取引では子会社MMSマーケティングからの借入(取引金額140,000千円、期末残高30,000千円)や代表取締役杉野文則氏への貸付金8,125千円が残る。
総合考察
総合スコアを最も押し下げたのはガバナンス・リスクと市場反応である。2026年3月31日の整理銘柄指定と10月1日の上場廃止決定は、業績の改善度合いとは独立に株式の流通基盤そのものを失わせる事象であり、時価総額基準での不適合という理由からも、増収や営業損失の縮小では覆せない性質を持つ。 業績面には相反する動きがある。売上高17.21億円はEDINET DBで確認できる過去6期で最高であり、営業損失も前期1.83億円から0.98億円へ46.5%縮小し、営業キャッシュ・フローの流出も2.50億円から1.22億円へ縮んだ。一方で売上総利益率は38.9%と前期44.5%から低下しており、増収の中身が利益率の低いハードウェア販売に寄っていることを示す。棚卸資産評価損36,237千円は2026年5月28日の臨時報告書で先行開示された金額と一致し、資産評価の慎重化が本決算で確定した形だ。 注視点は、9月30日までの整理銘柄期間という限られた売却機会と、同じ9月30日に効力発生予定の減資・欠損填補が上場廃止後の資本政策にどう接続するかである。5期続いた営業赤字の構造が変わるかは、上場廃止までに開示される2027年3月期の四半期業績が数少ない判断材料となる。