EDINET有価証券報告書-第15期(2025/04/01-2026/03/31)-2↓ 下落確信度80%
2026/06/25 13:27

宮越HD、最終赤字19.37億円 減損8.48億円で期末配当見送り

開示要約

宮越ホールディングスは第15期(2025年4月1日〜2026年3月31日)の事業報告等を開示した。連結営業収益は391百万円で前期比62.0%減、営業損失333百万円、経常損失839百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は1,937百万円となった。前期の当期純利益365百万円から損益が反転し、1株当たり当期純損失は48円42銭である。 損失の要因は二つある。第一に、子会社の深圳皇冠(中国)電子有限公司が深圳市福田区に保有する賃貸用事務所・工場・宿舎について、福田区政府から解体許可が下り、備忘価額まで減額したうえで848百万円(うち土地使用権847百万円)と取壊費用等95百万円を特別損失に計上した。第二に、子会社クラウン株式会社の宮越總業株式会社向け長期貸付金について、担保である当社株式の時価下落を理由に繰入額944百万円を営業外費用に計上した。 深圳市で進める「ワールド・イノベーション・センター」(WIC)は、先行する01-01区画で実質的な開発許可を取得した。2026年の着工、2030年のグランドオープンを目指し、完成後の不動産評価額は約3,385億円を見込む。総資産は26,506百万円、純資産は26,093百万円、1株当たり純資産は612円70銭。期末配当は見送る方針が示された。今後の焦点は着工時期と新規に取得する50年の土地使用権の費用負担にある。

影響評価スコア

-2i
業績インパクトスコア -4

連結営業収益は391百万円と前期の1,030百万円から62.0%減り、営業損益は前期の284百万円の利益から333百万円の損失へ転落した。WIC再開発に伴うテナント退去と建物解体で賃貸収入が細ったことが直撃し、営業総利益193百万円では販管費526百万円を賄えていない。ここに減損848百万円と貸倒引当金944百万円が重なり最終損失は1,937百万円に膨らんだ。2030年の開業まで賃料収入が見込めないため、営業赤字は当面続く構図にある。

株主還元・ガバナンススコア -3

期末配当は見送る方針が示され、無配が続く。1株当たり純資産は612円70銭と前期の657円87銭から目減りし、利益剰余金も連結で6,445百万円から4,507百万円へ1,937百万円減少した。株主総会には退任取締役への退職慰労金贈呈議案が付議される一方、還元の原資は単年で大きく削られた。WIC開業まで賃料収入が立たない以上、配当再開の具体的な道筋は示されていない。

戦略的価値スコア +2

WICプロジェクトは01-01区画について深圳市から開発実施主体と建設指標の規劃修正案が承認され、実質的な開発許可を得た。2026年着工・2030年グランドオープンを目標に解体工事が進み、完成後の不動産評価額は約3,385億円を見込む。研究開発用建物25.1万㎡分は土地使用権費用が免除され、有償対象は商業施設・宿舎9万7百㎡に絞られる。今期の減損はこの再開発を前に進めるための会計処理であり、中長期の資産価値創出に向けた一歩と読める。

市場反応スコア -2

貸倒引当金944百万円は2026年5月19日の臨時報告書で先行開示されており、減損848百万円も2026年1月7日公表の建物取壊しの延長線上にある。したがって新味は限定的だが、営業収益62.0%減と最終損失1,937百万円が確定値として示され、期末配当見送りも重なった。前期末時点のPBRは1.9倍と純資産を大きく上回っており、株価がWIC開業期待に依存する構造は一段と鮮明になった。

ガバナンス・リスクスコア -3

貸倒引当金944百万円の対象は子会社クラウン株式会社の宮越總業株式会社向け長期貸付金で、担保は持株比率38.7%の筆頭株主である宮越グループ株式会社が差し入れた当社株式である。連結の長期貸付金13,531百万円は総資産26,506百万円の半分を占め、本社事務所も代表取締役の近親者が議決権の100%を持つ会社から賃借している。会計監査人を興亜監査法人からAmaterasu有限責任監査法人へ交代する議案も付議された。

総合考察

総合スコアを最も押し下げたのは業績インパクトである。営業収益391百万円は5年前の1,619百万円の4分の1以下であり、賃貸収益基盤そのものがWIC再開発のために解体・返還されつつある。ROEは前期の1.4%から-7.6%へ沈み、営業キャッシュフローも473百万円の流入から906百万円の流出に転じた。減損848百万円は再開発の意思決定を会計に反映した一過性項目と整理できるが、944百万円は担保が当社株式であるという構造上、株価下落が引当増を呼び業績をさらに傷めるという自己参照的なリスクを抱える点で質が異なる。 他方で戦略的価値は正の方向を向く。01-01区画の実質的な開発許可取得と土地使用権費用の免除範囲の確定は、3,385億円という完成後評価額の実現確度を一段引き上げた。自己資本比率92.5%、負債合計413百万円という財務余力があるため、開業まで赤字を吸収する体力自体は残っている。5視点では業績・還元・ガバナンスの負と戦略の正が相反しており、時間軸の違いがそのまま評価の分岐になっている。 投資家が次に確認すべきは、2026年中に着工が実際に始まるか、新規取得する50年の土地使用権の費用が商業施設・宿舎9万7百㎡分でどの水準に着地するか、そして半導体・電子部品の輸入販売という新規事業が2027年3月期にどれだけ収益を計上するかである。

出典: EDINET(金融庁)(改変あり)
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