ラクオリア創薬は、2025年12月12日の取締役会で、HK inno.N Corporationを割当先とする第三者割当増資を決議した。発行株式数は1,555,900株、発行価額は1株907円で、調達額は約14.11億円。払込期日は2026年1月29日。増加する資本金・資本準備金は各約7.06億円。 監査等委員会は、発行価額が直前1カ月の終値平均を基準に交渉され、日本証券業協会指針に準拠しており、有利発行に該当しないとの取締役判断は適法とする意見を示した。 同社は創薬ベンチャーとして導出(ライセンスアウト)で収益化するモデルで、直近(2024年12月期)は連結で経常損失3.62億円、現金同等物は31.42億円。
ラクオリア創薬株式会社4579
注目の開示
開示情報
最新50件を時系列で表示しています。
2025年12月
2件今回の発表は「増資そのものをやり直す」話ではなく、12月12日に出した書類の中に、数字や文章の一部で直すべき点が見つかったため、正式に“訂正した版”を出したものです。わかりやすく言うと、提出済みの説明書の「書き間違い・書き足りない部分」を直した、という位置づけです。 直した内容は主に2つです。1つ目は、お金の使い道の説明で、名古屋と藤沢の研究拠点の説明文を、設備投資の説明の中に入れて整合を取っています。2つ目は、発行価格の説明で、過去平均株価や直近の出来高増加、株価が連続で上がった日数などの数値を修正しています。 大事な点として、発行株数(1,555,900株)や1株907円、調達額約14.11億円、払込期日など“増資の条件”が変わったとは書かれていません。そのため、投資家にとっては、内容の透明性を高めるための事務的な修正に近い開示と受け止められます。
今回の発表の中心は「新しい株を発行して資金を集める」ことです。会社が銀行から借りるのではなく、株を増やして投資家(今回はHK inno.N)に買ってもらい、約14億円を受け取ります。払込は2026年1月29日で、その日以降に会社の手元資金が増える形です。 なぜこうした発表が出るかというと、創薬の会社は研究や試験にお金がかかり、薬が売れるまで時間が長いからです。ラクオリア創薬も、薬の候補を作って製薬会社に権利を渡し(ライセンス)、一時金や進捗に応じたお金を受け取るビジネスですが、収入のタイミングが不規則になりやすい特徴があります。 一方で、新株を増やすと、1株あたりの価値が薄まる(同じ会社をみんなで分け合う割合が小さくなる)ため、短期的には株価の重しになりがちです。会社側は「直前1カ月の平均株価を基準にしたので不当に安い発行ではない」と説明しており、監査等委員会も適法性を確認しています。 わかりやすく言うと、研究開発を進めるための“運転資金を厚くする”ニュースで、良い面(資金確保)と注意点(株の増加による薄まり)が同時にある内容です。