EDINET有価証券報告書-第102期(2025/04/01-2026/03/31)-1↓ 下落確信度78%
2026/06/18 15:30

ホンダ、EV損失響き営業赤字4,143億円に転落

開示要約

本田技研工業の第102期(2025年4月~2026年3月)連結決算は、売上収益が21兆7,966億円と前期からほぼ横ばいの一方、営業損益は4,143億円の損失となり、前期の営業利益1兆2,135億円から1兆6,278億円悪化しました。親会社の所有者に帰属する当期損益は4,239億円の損失(1株当たり△106.06円)で、前期の8,358億円の黒字から赤字転落しています。 赤字の主因は四輪電動化戦略の見直しです。米国のEV補助金見直しや化石燃料規制の緩和でEV市場の拡大が鈍化したことを受け、2026年3月に米国生産予定のEV3車種の開発・発売中止などを決定。EV関連損失を除いた全社営業利益は1兆393億円と試算され、戦略見直しに伴う追加損失はFY2027/3以降と合わせ最大2兆5,000億円と見込まれます。研究開発費も前期比4,412億円増の1兆5,406億円に膨らみました。 事業別では二輪がインド・ブラジルを中心に過去最高の販売台数・営業利益を達成。四輪は関税負担増と半導体供給不足で販売が減ったものの、EV関連損失を除けば黒字を確保しました。 配当は年間70円(中間35円・期末35円)を維持し、DOE3.0%を目安とする方針を継続。2027年3月期はEV損失除く全社営業利益で前期並みの1兆円を掲げ、2029年3月期の過去最高水準への回復が今後の焦点です。

影響評価スコア

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業績インパクトスコア -4

営業損益は前期の営業益1兆2,135億円から4,143億円の損失へ転落し、当期損益も8,358億円の黒字から4,239億円の赤字に振れました。EV関連損失と研究開発費4,412億円増が直撃した格好で、業績インパクトは大きくマイナスです。ただしEV損失を除く全社営業利益は1兆393億円と試算され、二輪が過去最高益、四輪も損失を除けば黒字と、本業の稼ぐ力自体は維持されている点は下支え要因です。

株主還元・ガバナンススコア +1

赤字転落にもかかわらず年間配当70円(中間35円・期末35円)を維持し、2027年3月期も同額を予定。DOE3.0%目安の安定配当方針を継続し、当期も自己株式747,000,000株の消却と6,709億円の自己株式取得を実施しました。大幅減益下でも株主還元を絶やさない姿勢は相対的にプラスに働きます。

戦略的価値スコア -1

米国EV市場の拡大鈍化を受け、EV3車種の中止を含むラインアップ縮小とハイブリッド車強化へ戦略を転換。日本・米国・インドを注力地域と位置付け、次世代ハイブリッド投入を進めます。早期の損失処理で経営基盤の安定化を図る側面はあるものの、長期のカーボンニュートラル目標とEV投資計画の不確実性が増した点は戦略面の重しです。

市場反応スコア -2

営業赤字転落と最大2兆5,000億円規模のEV関連損失の試算は、市場にネガティブに受け止められやすい材料です。一方で損失の多くはQ3までに織り込みが進んでおり(Q3累計2,793億円計上)、配当維持と2027年3月期の営業利益5,000億円見通しが示されたことが、過度な下振れ懸念を和らげる可能性があります。

ガバナンス・リスクスコア -1

EV戦略見直しに伴う損失の責任を明確化するため、代表執行役社長・副社長のSTI(短期業績連動報酬)を不支給とし、業務外の不適切行為による取締役辞任を受けて社長は基本報酬の月額20%を2ヵ月自主返上しました。説明責任を果たす対応はガバナンス上評価できる一方、戦略の読み違いと役員辞任という事象自体がリスク要因として残ります。

総合考察

総合スコアを最も押し下げたのは業績インパクト(△4)で、営業損益が1兆6,278億円も悪化し赤字転落した点が決定的です。ただしこの赤字の大半は四輪電動化戦略見直しに伴うEV関連損失という非経常的要因で、これを除けば全社営業利益は1兆393億円と本業の収益力は維持されています。二輪の過去最高益や四輪のEV損失控除後の黒字がそれを裏付けており、株主還元(配当70円維持・DOE3.0%目安)も大幅赤字下で据え置かれたため、shareholder_impactは唯一プラス(+1)となり、視点間で方向の相反が生じています。市場反応はQ3までの損失織り込みと配当維持が下支えするため、業績の悪化幅ほどには売られにくいと見ます。今後の注視点は、最大2兆5,000億円とされるEV関連損失のうちFY2027/3以降に追加計上される金額の確定と、2027年3月期に掲げた営業利益5,000億円・EV損失除く全社1兆円の達成度、そして2029年3月期の過去最高水準回復シナリオの進捗です。米国の関税・通商政策と中東情勢が四輪の収益改善ペースを左右する点もリスクとして注視が必要です。

出典: EDINET(金融庁)(改変あり)
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