開示要約
東武住販が第43期(2025年6月〜2026年5月)の事業報告と計算書類を開示した。売上高は7,745,109千円で前事業年度比5.4%減となった一方、営業利益は587,923千円(同15.0%増)、経常利益は589,484千円(同16.2%増)、当期純利益は395,313千円(同15.2%増)と増益になった。1株当たり当期純利益は145円85銭、1株当たり純資産額は1,741円88銭。 主力の不動産売買事業は売上高7,405,200千円(同6.0%減)ながら、売上高原価率の改善で営業利益は1,049,691千円(同5.0%増)。自社不動産の販売件数は422件と前事業年度の460件から38件減った一方、平均販売単価は16,418千円と236千円上回った。不動産賃貸事業は売上高222,985千円(同14.0%増)、営業利益60,401千円(同208.9%増)。 第3次中期経営計画は当期が最終年度で、2026年4月14日に修正した目標値に対する達成率は売上高101.2%、経常利益131.0%、税引後当期純利益131.8%、販売件数100.5%となった。 期末配当は1株43円、総額116,533,698円とする剰余金の処分の件が2026年8月28日の第43回定時株主総会に付議される。今後の焦点は販売用不動産の仕入れ強化と販売件数の回復、営業地域拡大に必要な人材の確保である。
影響評価スコア
🌤️+1i売上高は7,745,109千円と前事業年度比5.4%減ったが、売上高原価率の改善で営業利益587,923千円(15.0%増)、経常利益589,484千円(16.2%増)、当期純利益395,313千円(15.2%増)と増益を確保した。売上総利益は2,367,821千円と減収下でも前事業年度を上回り、1株当たり当期純利益は145円85銭に伸びた。事業報告はROE(株主資本利益率)が2年連続で改善したと記載しており、EDINET DBの通期データでも水準は8.6%と前期8.0%から上昇している。
期末配当は1株43円で、前事業年度に支払った40円から3円の増配となり、配当総額は116,533,698円。1株当たり当期純利益145円85銭に対する配当性向は29.5%で、内部留保は企業価値向上のための投資に充てる方針が示された。純資産は4,720,643千円、1株当たり純資産額は1,741円88銭に増えた。自己株式は期中400株増の2,314株にとどまり、自社株買いによる追加還元の記載はない。
2024年7月策定の第3次中期経営計画は当期が最終年度で、2026年4月14日修正後の目標に対し売上高7,745百万円(達成率101.2%)、経常利益589百万円(同131.0%)、税引後当期純利益395百万円(同131.8%)、自社不動産の販売件数422件(同100.5%)となり、利益目標を大幅に上回った。ただし営業員の採用数が計画を下回って販売件数が伸び悩んでおり、中国地方と九州地方での営業地域拡大は人材確保が前提となる。次期中期経営計画の内容は本開示に記載がない。
発行済株式2,712,400株に対し代表取締役社長の荻野利浩氏が1,047,700株(38.65%)を保有し、株主数は8,181名と流動性は限定的だ。EDINET DBの通期データでは時価総額31.6億円、PER8.0倍、PBR0.67倍、配当利回り3.69%で、増益と増配は下値を支える材料になりやすい。一方で売上高は2期ぶりの減収であり、トップライン回復が確認できるまでは買い上がりにくい局面が続く。
監査役1名が2025年12月29日付で辞任したが、2026年5月31日時点で監査役3名(うち社外2名)の体制を維持し、監査役会は14回開催された。取締役会17回には社外取締役3名と社外監査役2名がいずれも全て出席している。会計監査人の有限責任監査法人トーマツは計算書類が適正に表示されているとの意見を表明し、監査役会も内部統制システムに指摘すべき事項はないとした。販売用不動産2,851,944千円の評価では簿価切下額25,840千円を売上原価に計上している。
総合考察
総合スコアを最も押し上げたのは業績インパクトと株主還元だ。減収でも売上総利益が2,367,821千円と前事業年度を上回った事実は、平均販売単価を16,418千円へ引き上げ利益率を優先した仕入施策とリフォーム内容の精査が機能したことを示す。件数を追わず単価と採算で稼ぐ体質転換は、半期報告書で確認された減収増益の流れが通期で定着したことを意味し、経常利益は第3次中期経営計画の修正目標を31.0%上回った。 一方で戦略的価値と市場反応を+1にとどめたのは、成長の起点である自社不動産の販売件数が422件と38件減り、営業員の採用未達が営業地域拡大の制約になっているためだ。EDINET DBの通期データでは営業キャッシュ・フローが24,563千円の流出に転じており、仕入れ強化と資金繰り・有利子負債抑制の両立が次期の実務課題になる。 投資家が具体的に確認すべきは、2026年8月28日の定時株主総会における43円配当議案の可決と、次期(2027年5月期)の業績計画と後継の中期経営計画で販売件数の回復目標がどこに置かれるかである。PBR0.67倍という水準の見直しには、単価改善に件数回復が加わるかが鍵になる。