開示要約
レンゴー(証券コード3941)は段ボール最大手として知られる会社で、2019年8月にドイツの段ボール会社「トライコー・パッケージング&ロジスティクス社」を子会社にしました。今回の発表は、このドイツ子会社の事業価値が当初の見込みより大きく下がったため、会計上「」として189億1,000万円を2026年3月期の連結決算で計上するという内容です。とは、買収した会社などの帳簿上の価値が将来の事業見通しに照らして回収できなくなったときに、その差額を一気に費用処理する手続きです。原因は欧州の自動車産業の低迷で、自動車の生産で使う重量物用段ボールの売り上げが伸び悩んだことです。今後の対策として、ドイツの不採算拠点を他の拠点に統合してコストを下げ、自動車以外の化学品などの取引先を広げ、昨年7月に稼働したドイツ北西部の新工場と既存の南部バイエルン州工場で物流網を効率化していく方針です。短期的に欧州自動車産業の回復は難しいものの、中長期的には事業計画の達成を目指すと説明しています。
影響評価スコア
☔-1i189億1,000万円という減損損失は、前期の連結純利益(約290億円)の3分の2にも相当する大きさで、単独では大きな利益押し下げ要因です。ただし本日同時に発表された政策保有株式売却益や土地収用補償金と相殺すると、特別損益のネットは約76億円のプラスとなる見込みで、当期の最終利益への悪影響はある程度和らぐ構図です。
前期末のグループ全体ののれん(買収によって生じた帳簿上の資産)は約268億円で、今回の減損で大きく減る見込みです。配当の原資である利益のたまり(約3,007億円)への影響は限定的ですが、海外買収の難しさが浮き彫りになり、今後の海外投資の判断には一段と慎重さが求められる場面です。
2019年に約6年半前に買収した会社の価値が大きく下がったことは、買収時の見立てが結果として外れたことを意味します。原因はドイツの自動車産業の不調という外部要因ですが、買収時に予想した需要が実現しなかった面もあります。今後は自動車以外の取引先を広げ、不採算工場をまとめてコストを下げる計画ですが、欧州景気の回復が前提となるため、計画達成にはまだ不透明な部分が残ります。
189億円の減損損失は単独では大きなマイナス材料ですが、本日同時に発表された約241億円の特別利益と相殺されるため、純損益への打撃は限定的です。市場の注目は減損そのものよりも、欧州事業がいつ回復するのか、新工場の効果がどれだけ出るのか、という今後の見通しに移ると考えられます。
今回の減損自体の開示は法律で定められた手順に沿っており適切に行われています。ただし、買収後の海外子会社の業績モニタリングや、買収時の需要見通しの精度には改善の余地があります。会社はトライコー社を引き続き「重要な子会社」と位置付けているため、今後の業績や計画の達成状況を透明に開示していくことが求められます。
総合考察
今回の発表は2019年8月に買収したドイツ子会社「トライコー社」の事業価値が大きく下がったため、189億円のを2026年3月期に計上するという内容です。本日同時に発表された政策保有株式の売却益や土地収用補償金と相殺されるので、当期の最終利益への打撃はある程度和らぎますが、海外買収の見通しが結果として外れたという構造的な問題は残ります。今後は新工場の効果や、自動車以外の取引先拡大が業績回復の鍵となりますが、ドイツの自動車産業が回復するかどうかが大きな前提となります。