開示要約
ACCESSはWebブラウザ「NetFront」や米子会社IP Infusionのネットワーク機器向けソフト「OcNOS」を手がけるIT企業です。第42期の売上高は192億円と前年から20.6%伸び、IoT分野では企業のデジタル化を支えるサービスの大型案件納品が進み売上も利益も大きく増えました。一方で本業のもうけを表す営業損益は26.9億円の赤字となり、前年の22.6億円からさらに赤字が膨らみました。これはネットワーク事業で技術者を増やし研究開発に約38億円を先に投じたことが主因です。海外向けに70百万ドル規模の大型受注を獲得したものの売上計上は今後にずれ込みます。さらに、米子会社で発覚した売上の過大計上問題により、東京証券取引所から「特別注意銘柄」に指定されたままで、1年後の審査で内部管理が改善されたと認められなければ上場廃止のおそれもあります。手元の現預金は前年の103億円から54億円へほぼ半減し、配当も無配が続いています。
影響評価スコア
☔-2i売上は20.6%増えましたが、研究開発に多額の先行投資をした結果、本業は約27億円の赤字となり前年より損失が大きくなりました。手元の現金の出入りも黒字から大幅な赤字に転じており、投資が成果に結びつくタイミングが今後の鍵となります。
配当はなく、業績連動の役員報酬も見送りとなりました。会計問題の責任を取る形で経営陣が一部の株式報酬や新株予約権を自主的に返しています。株主にお金で報いる余裕はなく、まずは経営の信頼回復が優先される段階です。
AIや次世代通信向けソフトで70百万ドル規模の受注を獲得し、IoT分野では業績が大幅改善するなど成長の芽は出ています。ただし大型案件の売上計上は後ろ倒しで、いま投資した分が利益に変わるまでには時間がかかる見込みです。
売上は伸びていますが赤字が続き、会社の純資産も減って財務体質は弱まっています。配当もないなかでガバナンスの問題も解消していないため、投資家から見て株価が買われる材料は限られている難しい局面が続いています。
米子会社の会計不正を受けて東京証券取引所から「特別な注意が必要な銘柄」に指定されたままで、1年後の審査で改善が認められなければ上場廃止になる可能性があります。手元資金の急減と継続赤字を受け、事業継続にも厳しい注記がついています。
総合考察
売上は伸びましたが、ネットワーク事業の研究開発に約38億円を先行投資した結果、本業は約27億円の赤字となり、現金も急減して純資産は約68億円まで小さくなりました。一方でIoT分野は売上が約52%増えるなど好調で、海外向けに70百万ドル(約100億円規模)の大型受注も獲得しています。ただし米国子会社の不正会計問題で東証の「特別注意銘柄」指定が続いており、来年8月以降の審査で改善が認められないと上場廃止の可能性もあるため、当面は経営改善と先行投資の成果が出るかが投資判断の焦点となります。